これまでsyncSPORTS by Rakutenでインタビューさせてもらったトップアスリートの多くが口を揃えて話していた食事の大切さ。スポーツをプレーするのも、応援するのも、活力あふれるカラダがあってこそ。ヴィッセル神戸の佐々木大樹選手をはじめ、多くのトップアスリートを食事面で支えるシェフshumaさんにご協力いただき、秘伝のレシピを教えてもらいます！連載第一回は、この時期誰もが知りたい「夏バテ対策レシピ」。

佐々木選手のほか、埼玉西武ライオンズの渡邉勇太朗選手やジェフユナイテッド市原・千葉の森海渡選手の食事・栄養も管理されているアスリートシェフshumaさん。選手からも「持久力が続くようになった」「気力が上がるようになった」と好評なのだとか。今回は夏バテしない料理を作ってもらった。おいしくて簡単、健康のバランスも取れるメニューを教えてもらおう。

1品目：鶏ひき豆乳坦々蕎麦 ～豆乳を使った、栄養満点メニュー～

【材料（1人前）】
・蕎麦　100g
・鶏胸ひき肉　50g
・にら 1/4袋
・温泉卵　１個

【調味料】
・米油　大さじ1
・味噌　12g
・オイスターソース　5g
・にんにくすりおろし　1かけ
・生姜すりおろし　にんにくと同量
・豆板醤　2g
・コチュジャン　3g
・みりん　5ml
・お酒　8ml
・お水　10ml

つゆ
・めんつゆ　4倍濃縮 15ml
・豆乳　25ml
・お水　40ml
・すりごま　15g
・いりごま　5g
・ごま油　小さじ1

【調理方法】
①大きめの鍋にお湯を沸かしておく。
②にらを2㎝幅の食べやすい大きさに切る。
③フライパンに米油をしき、鶏胸肉を入れ炒める。
④鶏胸肉に火が通ったら調味料を加え、軽く煮たたせる。
⑤火を止め、にらを加え混ぜ合わせる。
⑥蕎麦を表記時間通りに茹で、冷水でしめておく。
⑦よく水分をきった蕎麦をお皿に盛り、つゆ、④を上に盛り、最後に温泉卵を乗せたら完成！

【調理のコツ】
・にんにく、生姜で味にパンチを効かせて食欲倍増！
・にらは火を止めてから加えることで、シャキシャキ感を残せる。
・蕎麦でなくうどん、そうめんなどでも代用OK。

【shumaさんのオススメポイント】
・鶏胸肉、豆乳を使ったヘルシーメニュー。
・にらは脂溶性ビタミンが豊富。油で炒めることで効率よく栄養を摂取できる。
・鶏胸肉は脂質を抑えられる。
・蕎麦は、麺類の中でたんぱく質量がトップクラス！

「食欲が湧かない夏におすすめのメニューです。豆乳を使うことで、栄養価も高く、まろやかで食べやすい味に。お米は食が進まないこともあるけれど、蕎麦ならするっと食べやすい。麺類はマンネリ化しやすいですが、ちょっと工夫を加えることで色んなメニューが楽しめます！」（shuma）

2品目：豚しゃぶとブロッコリーのレモンお浸し ～疲労回復に効く、ビタミンチャージ副菜～

【材料】（1人前）
・豚肩ロース　150g
・ブロッコリー　100g
・レモン　1/2個
・ラディッシュ　2個
・お酒　大さじ1
・生姜スライス　3枚

【調味料】
・白だし　大さじ2（30ml）
・水　20ml
・お酢　大さじ1/2（7ml）
・黒胡椒　お好み

【調理方法】
①鍋にお湯を沸かしお酒大さじ1、生姜スライスを入れておく。

②ブロッコリーは食べやすい大きさに切る。
③レモン、ラディッシュは薄く輪切りにする。
④調味料をボウルに入れ、野菜を加える。
⑤ブロッコリーを2分茹でザルにあげておく。
⑥鍋の火を止め、豚肉も火が通るまで茹でる。
⑦茹で上がったブロッコリー・豚肉に熱がある状態で④に入れ馴染ませる。
⑧粗熱を取ったあと、冷蔵庫に30分ほど入れて冷やす。
⑨お皿に盛り付け、お好みで黒胡椒をかけたら完成！

【調理のコツ】
・豚肉は火を止めて茹で、おひたしにすることでしっとり感が増す。
・ブロッコリーは食感を残す硬さにすることで、豚肉との食感の違いを楽しめる。
・肩ロースは赤身と脂身のバランスがよく、やわらかく仕上がりやすい。
・豚肉の脂質が気になる方はもも肉でもOK！

【shumaさんのオススメポイント】
・豚肉に多く含まれるビタミンB1は、体内で糖質をエネルギーに変える際に必要不可欠な栄養素。疲労回復効果にも最適！
・ブロッコリーはたんぱく質のほか、ビタミンC・ビタミンK・食物繊維も豊富！
・レモン、お酢は疲労回復効果、夏バテ防止効果あり。

「レモンとお酢を使った、さっぱりとしたメニュー。豚肉・ブロッコリー・レモンなど、疲労回復効果がある食材を使っています。またラディッシュはスーパーで簡単に買えるほか、彩りも出してくれるのでおすすめです！」」（shuma）

今回夏バテ対策メニューを作ってくれたshumaさんにも話を聞いた。shumaさんはどんなことを意識してメニューを考えているのだろう？

——普段はどんな活動をされていますか？

複数のスポーツ選手の食事に関するサポートをしています。選手の毎日の朝ごはん・夜ご飯を自宅までつくりに行ったり、練習から戻ってきたとき用の作り置きをしておいたり。ヴィッセル神戸の佐々木選手にはオンラインで栄養サポートをしています。

——サッカー選手と野球選手で、食事作りやサポート内容に違いはありますか？

サッカー選手はフルで試合に出ていたら10km以上走ると言われています。とにかく消費が激しいので、エネルギーを蓄えられるメニューを意識。1試合で体重が2kgくらい落ちることもあるので、試合後は糖質・タンパク質・ビタミンCをしっかり組み込んだメニューにして、疲労回復ができるようにしています。

野球選手だと、エネルギーを蓄えることはもちろんですが、コントロールが大切になってくる。僕はポジションがピッチャー（埼玉西武ライオンズ 渡邉選手）の選手を担当させてもらっているので、糖質の量や炎症を抑えるビタミンC、良質な脂質が摂れるメニューを重視していますね。特に魚やアボカド、ナッツは良質な脂質が含まれているので、積極的に摂ってもらっています。

——スポーツをするにあたって、食のバランスが大きく影響してくるんですね。

やはり体力勝負なので、体重管理や夏バテ対策は必須。カロリーや栄養価を調整することが、選手のコンディションを整える大きなポイントになります。それだけではなく、集中力・気力をあげたり、疲れにくくさせたり。食事だけでも、いろんなことができるようになるんです。僕のメニューを食べたことで、選手から「力を出し切れた」「足がつらなくなった」と言ってもらえるのがうれしいです。

——夏バテ対策として、メニュー選びや調理で特に意識しているポイントは？

夏はさっぱりとしているものが食べやすいですよね。 麺や温度が冷たいものを使うようにしています。食べやすさを重視する分、具材でエネルギーや栄養素を賄えるようにしています。また、先ほど作った豆乳坦々蕎麦のように、甘辛な調味料とまろやかな豆乳を使うことで味にメリハリを付けてみたり。飽きずに食べられるようなメニューにすることも大切ですね。

——レシピのアイデアはどうやって思いつくんですか？

自分で作る料理と同じくらい、外食も大切にしています。そうすることでヒントをもらったり、メニューの組み合わせを学ぶことができるなと思っていて。ピザが大好きなので、イタリアンにはよく行きますね。僕は神戸で活動していたので、東京に来てまだ数ヶ月なのですが、あたらしいお店を開拓中です。

——今後チャレンジしてみたいメニューや、食を通じて実現したいことはありますか？

1番目指していることは、やはり選手に求められている料理をきちんと提供するということです。栄養素や味だけではなく、「お店のメニューみたいに」など、選手の要望にもっと応えていきたいですね。その先は、海外で選手の食事サポートをすることが目標です！

食べることって、ただお腹を満たすだけじゃない。ちょっとした工夫をプラスすれば、毎日のごはんが自分の味方になる。夏の暑さに負けず、好きなことを思いっきり楽しむために、今日もおいしくカラダづくりをしていこう。

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TEXT：Shiori Saeki (IN FOCUS)

PHOTO：Yoko Tagawa

EDIT：Yohsuke Watanabe (IN FOCUS)