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祝 リーグ優勝! ヴィッセル神戸の番記者が目に焼き付けた激戦の記憶

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ミヒャエル・スキッベ監督就任1年目の今シーズン、さっそく偉業を成し遂げたヴィッセル神戸。昨シーズンに続き、神戸新聞の井川朋宏記者に激動の4か月を振り返ってもらった。全20試合を現地取材した番記者が見た、筋書きのないドラマ。秋春制へと移行し、日本サッカー界にとって大きな転換点となる来シーズンへとつながる、チームの"もっといい未来"がはじまった。

再起の分岐点

優勝戦線に踏みとどまったのが、5月13日、ホームでの京都戦だった。岡山戦から中2日で、先発6人を入れ替え。選手間の距離を縮めるコンパクトな陣形を意識し、前線からのプレスが機能すると、球際でも優位に立って本来の強度を発揮した。

終盤に均衡を破ったのは、負傷欠場した山川哲史主将に代わって6試合ぶりに先発したDFンドカ・ボニフェイス選手だった。「自分のやるべきことをやれば素晴らしいチームメートがいるので大丈夫。強みを出そうと思った」と一戦に集中。後半33分、コーナーキックを起点とし、途中出場した満田誠選手からの前方へのクロスに、「髪の毛で触った」という執念の一撃が決勝ゴールとなった。

今シーズンのターニングポイントであった5月13日の京都サンガF.C.戦。ンドカ・ボニフェイス選手の執念のゴール。

試合後、武藤選手は「ヴィッセルらしさが戻ってきた」とうなずいた。次戦のV・ファーレン長崎戦は2-2で引き分けたものの、優勝を争う名古屋グランパスが同じ日に大敗したことで、ヴィッセル神戸が首位を奪還。最終節のアビスパ福岡戦は1-0で制した。ACLE後は3勝4敗(うちPK戦1勝2敗)、5得点11失点と苦しんだが、西地区の1位をもぎ取った。

頂上決戦の覚醒

プレーオフ初戦、鹿島アントラーズ戦前日の5月29日に行われたオンライン囲み取材で、大迫勇也選手は終盤の戦いに危機感を募らせた。「戦い方がぶれてしまい、バランスを崩した。このサッカーをしていたら未来はない」。直前の1週間で、スキッベ監督に率直な意見を伝えたと明かした。

そうした危機感が奏功したのかもしれない。試合では3バックから4バックに変更し、従来のハイプレスとロングボール主体の戦術を展開したことで、後方からつなぐ相手チームに襲いかかった。高い位置を保ち、選手間の連動性と強度が向上。前半、大迫選手の直接FKで勢いづかせると、後半序盤に武藤選手の素早いスローインから大迫選手がボレーで2点目を挙げた。反撃を試みた鹿島アントラーズを堅守ではね返すと、さらにチームで3点を追加。大迫選手は「言うからには責任を持たなくてはいけない」との言葉通り、圧巻のハットトリックを達成した。

5月30日の鹿島アントラーズとのプレーオフ第1戦。ハットトリックを達成した大迫勇也選手。

第2戦ではカエターノ選手が前半で負傷交代し、ンドカ選手と19歳の山田海斗選手がセンターバックで急造コンビを組んだが、GK権田修一選手を軸に猛攻をしのいだ。象徴的なのが、後半に連続2失点した直後だった。敵地メルカリスタジアムで鹿島アントラーズファンの熱量が高まる中で、イレブンが自陣に集結。キャプテンマークを巻いた酒井高徳選手らが「慌てなくていい」と声をかけ、チームは地に足を付けて戦い、追加点を許さなかった。

揺らぎかけたチームを再びひとつにしたのは、百戦錬磨のベテラン勢だった。就任半年ながら、柔軟な采配で頂点に導いたスキッベ監督は「非常に満足している。元からの素晴らしいチームに、自分のアクセントをうまく加えられた」と喜びをかみしめた。

支え続けたチームの心臓

優勝に不可欠な存在だったのが、MF井手口陽介選手だ。出場停止の1試合を除き、プレーオフを含めて19試合全てに先発。開幕から負傷者が相次ぎ、ボランチの相棒、扇原選手も離脱する苦しい台所事情で、「ピッチ上に何人もいる」と称される豊富な運動量と献身性で、中盤を支え続けた。

ヴィッセル神戸に加入して3シーズン目。山川主将も舌を巻くほどの連戦好きで、走行距離206.7km、スプリント数266回はいずれもチームトップ。こぼれ球奪取数92回はリーグ2位、インターセプト8回はリーグ3位タイで、1得点3アシストという数字以上に攻守両面で貢献した。「チームが悪いときにどれだけ助けられるか」と、ピッチで走り続け、地域リーグラウンドのベストイレブンにもトゥーレル選手とともに選出された。

19試合に先発出場した井手口陽介選手。

残る悲願へ

新指揮官の下、チームは昨季の平均1.2点から、1.6点へと攻撃力が向上した。また18歳のルーキー濱﨑健斗選手、2季目の山田選手とユース出身の2人が積極起用され、ボランチの23歳、日髙光揮選手も初ゴールを挙げるなどACLEを含めて経験値を積んだのは今後の光明だ。

大迫選手、酒井選手らベテラン勢が30代後半に入る中、今後は山川主将や佐々木大樹選手、郷家選手ら20代の中堅が軸となり、若手が台頭できるかが鍵を握る。タイトルを重ねて培われた経験と自信を胸に、それぞれの力が融合したとき、悲願のACLE初制覇は現実味を帯びてくる。

TEXT:Tomohiro Igawa
EDIT:Satoru Komura, Yohsuke Watanabe (IN FOCUS)

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  • 神戸新聞記者
    井川朋宏

    1985年生まれ、神奈川県平塚市出身。2009年、神戸新聞社入社。2013~17年に運動部で陸上やバスケットボール、女子サッカーなどを担当。報道部などを経て2024年から運動部でヴィッセル神戸を担当し、2025年はヴィッセル神戸戦の国内全52試合、2026年もリーグ戦全20試合を取材した。

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