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リーグ優勝にベストイレブン選出。それでもヴィッセル神戸 井手口陽介は慢心しない。「自分がもっと引っ張らないといけない」

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縦横無尽にピッチを駆け回り、重要な局面でボールに絡む。そして、豪快なミドルシュートで得点も奪う。ヴィッセル神戸の井手口陽介選手は、圧倒的な運動量で中盤を支配し、明治安田J1百年構想リーグ優勝の立役者となった。30歳という節目を迎え、チームリーダーとしての自覚も芽生えてきている。2026/27明治安田Jリーグ、そして来季のAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)に向け、ここからどんな活躍を思い描いているのか?

今年7月に札幌市白旗山競技場にて実施された「楽天モバイル最強キャンプ2026」の期間中に現地で取材を実施した。

豊富な運動量と高いボール奪取力で、何度もチームを救ってきた井手口選手。守備的なポジションを主戦場としながらも、ボールを奪うだけでなく、そこから攻撃・ゴールへとつなげられる。相手の攻撃の芽を素早く摘み取り、自ら前線へとボールを運んで、試合のリズムを生み出す存在としての評価も高い。

もともとはガンバ大阪のユースで育ち、トップチーム昇格後に大きく飛躍した。2017年のJリーグベストイレブン選出や、日本代表での活躍を覚えている人も多いだろう。その後は欧州クラブにも挑戦。度重なるケガに苦しんだものの、2024年からヴィッセル神戸へ加入し、Jリーグ制覇に貢献した。

井手口選手の魅力は、豊富な運動量や球際の強さだけではない。味方がプレーしやすいポジションを取り、攻守のバランスを保ちながら、試合全体を落ち着かせる判断力も大きな武器。派手な動きで目立つタイプではないものの、ピッチを俯瞰しながらチームを支えるその姿勢は仲間からの信頼も厚い。J1百年構想リーグでは、その献身的なプレーがリーグ優勝やベストイレブン選出につながった。それでも井手口選手は「足りない部分も多かった」と反省を口にする。

そうしたストイックな姿勢はどこから生み出されているのだろうか。そして、悲願のアジアチャンピオンに向けて、井手口選手はどんなプレーヤー像を描いているのか。これからの未来について語ってもらった。

公式グッズにも使用される「どこでも井手口」の言葉通り、キャンプ中の練習試合でも縦横無尽に走りチームの勝利を支えていた。

——今年2〜6月のJ1百年構想リーグを振り返ってみて、いかがでしたか?

「チームとして優勝できたことは何よりよかったと思います。その一方で、チームも自分自身も、好不調の波がありました。正直、難しいシーズンだったなと感じています。自分のパフォーマンスを振り返っても、コンディションを上げることに集中してしまった分、若手の選手たちを引っ張っていくような存在にはなれなかったと反省しています。足りない部分も多くあったシーズンでした」

——ミヒャエル・スキッベ監督の就任で、ご自身のプレーに変化はありましたか?

「チームとしては戦術的な自由度が上がった分、責任も伴い、フィールドにいる選手たちが中心となってゲームをつくり上げていく難しさを感じているところですが、自分のプレースタイルは特に変わっていないです。自由にやらせてもらえている分、その中でいかに自分の持ち味を発揮するかが大切だと思っています。簡単ではありませんが、いまのサッカーを楽しんでいます」

——井手口選手と言えば豊富な運動量に定評がありますが、ご自身でも常に意識されているのでしょうか?

「『すごい走るね』とはよく言われますが、自分ではあまりフォーカスはしていなくて。ボールを奪って得点シーンに関与したいと思っているだけです。運動量を意識しているのではなく、ゴールに関与するプレーを心がけた結果、運動量が人よりも多くなっているというのが正しいかもしれません」

——プレーの面で、現在課題に感じている部分はありますか?

「もっとチームをリードしていく存在にならないといけないと思っています。以前のインタビューでも、サコくん(大迫勇也選手)やゴウくん(酒井高徳選手)のように、若手のお手本になりたいと話しましたが、まだそうした選手にはなれていない。もっとメンバーとコミュニケーションを取って、言葉でも姿勢でもチームを引っ張っていけるようになりたいですね」

——2026年3月には、ヴィッセル神戸の練習拠点であるいぶきの森球技場内に新トレーニング施設「Vissel Performance Center(VPC)」が完成しましたが、いかがですか?

「まず、広くなったのがすごくいいですね。以前は狭いスペースでストレッチをしていたのですが、いまは伸び伸びできます。マシンのバリエーションも豊富なので、個々に合ったトレーニングができるようになったと感じます」

※「Vissel Performance Center(VPC)」の詳細記事はこちら

<潜入! ヴィッセル神戸の新たなトレーニング施設はどんなところ? – Part.1|Vissel Performance Center>
<サッカー特化型のトレーニング施設。そのこだわりと誕生秘話 – Part.2|Vissel Performance Center>

——2026/27明治安田Jリーグでは、どんな目標を設定されていますか?

「チームとしては、JリーグとACLEをともに優勝することです。個人としては先ほど話した通り、チームを牽引する存在になること。そしてシーズンを通してケガなく活躍することですね。試合数も多いので、自分の出た試合で常に高いパフォーマンスを発揮していきたいです」

——最後に、将来プロサッカー選手を目指す子どもたちに向けてメッセージをお願いします。ずばり、サッカーがうまくなるためのコツはありますか?

「楽しめているかが結局一番大事だと思います。僕自身、小さいころはいろんな選手のビデオを見て練習して、うまく真似できるたびに喜んでいました。サッカーを心の底から楽しんでいたからこそ、さらに上達できたのだと思います。その気持ちはいまも変わらないですね。

僕個人の意見ですが、いまの子どもたちを見ていると、サッカーを『やらされている』みたいな感覚というか、ストイックにがんばり過ぎてしまって、心の底から楽しめていないように感じてしまいます。だから、僕も息子のサッカーチームの練習や試合を見に行くときは一切口出ししないようにしているんです。もちろん、がんばるのは素晴らしいことなのですが、まずはとにかく目の前のことを楽しんでほしい。これはサッカー以外のスポーツにも言えることかもしれませんね」

Jリーグベストイレブンに選ばれてもなお、おごることなくひたむきにサッカーに向き合う井手口選手。その視線は、過去の実績ではなく、これからの自分自身へ向けられている。ゴールに関わるために走り続け、言葉とプレーの両面で仲間を導く存在を目指す――。ストイックに成長を追い求める背番号7が、ヴィッセル神戸をアジアの頂点へと導いてくれるに違いない。

PHOTO:Teppei Hori
TEXT:Kodai Wada
INTERVIEW & EDIT:Yohsuke Watanabe (IN FOCUS)

  • ヴィッセル神戸
    井手口陽介

    1996年8月23日生まれ。福岡県福岡市出身。ポジションはMF。ガンバ大阪、リーズ・ユナイテッドFC、クルトゥラル・レオネサ(※期限付き移籍)、グロイター・フュルト(※期限付き移籍)、ガンバ大阪、セルティックFC、アビスパ福岡(※期限付き移籍)を経て2024年にヴィッセル神戸に加入。J1百年構想リーグでは17試合に出場し1得点を記録。地域リーグラウンドベストイレブン(WEST)にも選ばれた。

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