女子バスケ界屈指のPG町田瑠唯は、チームワークをどう考えるか?
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日本の女子バスケ界を代表するポイントガードとして、Wリーグ(バスケットボール女子日本リーグ)でプレーする町田瑠唯選手。東京五輪での活躍、本場アメリカでの経験といった輝かしいキャリアの持ち主にも関わらず、その発言からはチームメイトを“立てる”気持ちが何より先に伝わってきた。なぜ、彼女はこんなに謙虚でいられるのか?
日本の女子バスケ界を代表するポイントガードとして、Wリーグ(バスケットボール女子日本リーグ)でプレーする町田瑠唯選手。東京五輪での活躍、本場アメリカでの経験といった輝かしいキャリアの持ち主にも関わらず、その発言からはチームメイトを“立てる”気持ちが何より先に伝わってきた。なぜ、彼女はこんなに謙虚でいられるのか?
バスケットボールを観戦していると、チームがまるでひとつの生き物のように感じられる時がある。華やかな個人プレーとはまたひと味違う、息を呑む連携プレーの妙。他のチームスポーツと比較しても群を抜く目まぐるしい試合展開のなかで、それを感じる瞬間にこそ観客はバスケに夢中になるのかもしれない。
町田選手は、そんなチームスポーツとしてのバスケを誰よりも大切に考えている。いつでもチームメイトを第一に、「ONE FOR ALL」の精神を体現する彼女の姿勢。それは例えば会社や学校で、毎日たくさんの誰かと向き合う私たちも共感せずにはいられない、しかし忙しい日々のなかでつい疎かにしてしまっているものではないだろうか。
「自分がチームの中心だと思ったことはないんです。ポイントガードなのでチームを引っ張っていく存在であるとは思いますけど、それもすべては他の選手の良いところを引き出すためにやっていること。それが私の仕事ですし、何より楽しい。富士通レッドウェーブは全員が3ポイントを打てるくらいバランスの取れたチームだから尚更そう思えるのかもしれません。アグレッシブなディフェンスから、早いトランジションで、誰にボールが渡っても速攻で点を取れる。誰かひとりに頼らなくてもいい強さを持ったこのチームは、きっと私に合っているんです」。
ひとりに頼らなくてもいい。それはつまり、全員がお互いを信頼できているということ。当たり前のようでいて、そう簡単なことではない、チームメイトとのこうした理想的なコミュニケーションについても、町田選手は彼女らしい考えを話してくれた。
「大事なのは、一対一で会話することかなって思います。チーム全員を前にして話さなくてはいけないことも時にはありますけど、どうしても私の発言に対してみんなが“はい”と返事をするしかない状況が生まれてしまう気がして。それだと相手が何を思っているのかまでを知ることはできないのかなって。私が自分の考えを相手に伝えることももちろん大事ですけど、それ以上に、私は相手の考えを聞きたいんです」。
2021年8月6日、東京五輪の女子バスケットボール準決勝、日本対フランス戦の光景がふと蘇る。町田選手が五輪新記録となる一試合18アシストをマークし、バスケの本場アメリカのメディアからも「スーパースター」と讃えられたあの日。歴史的な偉業ほど、ついその結果で記憶してしまいがちだが、その陰にはきっと簡単には計り知れない、とても長く、丁寧な時間が流れていたのかもしれない。最後にひとつ質問を投げかけてみた。彼女はなぜ、数あるチームスポーツの中からバスケットボールを選んだのか?
「元々は野球が好きで、ずっとやっていこうって決めていたんですけどね。でも小学2年の時に友達に誘われてバスケの練習に見学に行ったら、見事にハマってしまいました。みんなはシュートばかり打っていたけど、私はもう、ドリブルやパスが楽しくって(笑)。チームスポーツがずっと好きなんです。ひとりじゃできない。ひとりが得点を取ったからって勝てるわけじゃない。いろんな選手が常に動きながら、みんなで一点をつないで、みんなで守る。サッカーも似ているかもしれませんね。でも私にとっては、何より好きな“チームワーク”を一番感じられるスポーツがバスケットボールだったんです」。
TEXT: Yohsuke Watanabe (IN FOCUS) PHOTO : Yoko Tagawa
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- 町田瑠唯
北海道旭川市出身。162cm。2011年から現在まで、Wリーグの富士通レッドウェーブに所属。2022年には、WNBA(アメリカの女子プロバスケットボールリーグ)のワシントン・ミスティクスでのプレーも経験した。同年からは、楽天グループとマネジメント契約も結んでいる。