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【後編】「“本物”に触れてほしい」。インターネットが発達したいまだからこそ、ヴィッセル神戸 権田修一が子どもたちへ伝えたいこと

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プロサッカー選手として数々の大舞台を経験してきた権田修一選手。その視線は、自身のプレーだけでなく、未来を担う子どもたちにも向けられている。北海道で行われたサッカー教室、生観戦の価値、そして愛する息子への教育。後編では、競技を通じて次世代へ伝えたい想いと、権田選手が考える「本物」に触れることの大切さを聞いた。

日本代表、そして世界の舞台を経験してきた権田修一選手が見据えているのは、目の前の勝敗だけではない。子どもたちがサッカーに出会うきっかけを増やすこと、生観戦ならではの魅力を伝えること、そして次の世代へ経験を受け継ぐこと。それもまた、現役選手として果たすべき役割だと考えている。ひとりの父親として、そしてひとりのプロサッカー選手として。権田選手が未来の子どもたちへ届けたいメッセージとは?

——子どもたちにもっとサッカーを好きになってもらうために、どんなことが必要だと思いますか?

「やはりサッカーに触れる機会を増やすことが、まず大事だと思うんです。北海道のキャンプに来てサッカー教室を開きましたが、プロのサッカー選手が来るとなれば、子どもたちも喜んでくれるじゃないですか。僕はFC東京のユース出身なのですが、トップチームの練習を見学に行ったときはすごく刺激を受けましたし、将来へのモチベーションになりました。だから現役選手たちが、そうやって子どもたちの夢をつくっていくのは、大事な役割だと思っています」

——いまはインターネットが発展して、いつでもどこでもサッカーが観れる環境です。その点は好意的に捉えられていますか?

「好きなチーム、選手のプレーを思う存分楽しむことができる。それは素晴らしいことです。その手軽さは大きなメリットですが、ハイライト映像が溢れ、90分の試合をフルで観る機会が減ってしまいました。重要なプレーの前後まで観てもらえないのは、少し残念ですね。たとえばビッグセーブの少し前に、ディフェンダー陣のちょっとしたプレスが効いていたり、ポジショニングでピンチを防いだりと、ハイライト映像に載らないけれども、試合を左右するような大切なプレーはたくさんあるんです。そういう意味では、やはりスタジアムに足を運んでほしいですね」

——生観戦することの面白さとは、どんなところでしょうか?

「たとえば選手同士の声かけの様子や、ボールを持っていない選手の動き、選手同士がぶつかり合う音など、テレビカメラには映らない部分を観ることができますよね。僕自身、子どもの頃から選手のウォーミングアップを観るのが好きだったんです。ゴールキーパーって試合中はあまり動きがないので、ウォーミングアップの動作を観て勉強していました。いまでも海外の試合とかを観戦に行くと、ウォーミングアップから観たいんですよ。テレビやインターネットのメディアはもちろん大切ですが、ぜひ生観戦してもらって、『本物』に触れてほしいと願っています」

——すでにサッカー選手を目指している子どもたちにも、アドバイスをお願いします。

「先ほど『本物』に触れてほしいという話をしましたが、それは本気で取り組む選手たちを観ることで、強い覚悟を持ってほしいという意味でもあるんです。生半可な気持ちではアスリートにはなれない。日本代表の合宿に行くと、負けず嫌いな選手ばかりです。海外クラブで活躍する選手たちが、練習中にタッチラインを割ったか割ってないかで言い争うくらい、みんな負けず嫌いなんです。上を目指すのであれば、それだけ強いハートが必要だと思います」

——権田選手の長男もサッカーをやられていますが、「サッカーと教育」という面ではどのような考えを持っていますか?

「僕の友人はサッカー選手ばかりなので、息子も自然とそうした選手たちと触れ合う機会が多く、すごく刺激を受けていると思います。以前、僕と仲のいい選手が大けがをして1年間プレーできないとなったとき、息子に『1年間プレーできないってなったら、どうする?』と聞いたら、『無理無理!』と言うんですよ。だからそのときに『いや、無理って言うだけじゃなくて、そのときにどう行動するか考えなきゃいけない。1年後に活躍するために、ケガをしてもやらなきゃいけないことはあるんだよ』と話をしたんですね。これはサッカーに限った話ではなくて、社会に出るということでも同じだと思います。うまくいかないときにどうするか、どう行動していくかが問われるわけですから。息子もサッカー選手を目指していますが、サッカーというスポーツの中から、そうした自主性や人間性を学んでいってほしいですね」

——権田選手はサッカー以外のスポーツも好きとのことですが、スポーツ界全体に対してどのような想いがありますか?

「両親がバスケットボール選手だったので、バスケには馴染みがあります。あとは野球もよく観ます。マエケン(前田健太選手)と仲がいいんですよ。同い年で、僕が以前東京にいたときに通っていたジムがいっしょで、オフシーズンに合同トレーニングをやったこともありました。だから今年、マエケンが楽天イーグルスに来たときは『ようこそ楽天グループへ』って言いました(笑)。20歳くらいのときからの仲なので、それぞれプレーする場所は違いますけど、『イベントとかいっしょにやりたいよね』という話はよくしていますね。いろいろなスポーツが好きなので、僕はその中でサッカー界をよりよくしていく役割があると思っていますが、ほかの競技のアスリートたちといっしょに、スポーツ界全体に貢献していきたいですね」

サッカー教室での一コマ。かつての権田選手と同じように、間近で見るプロサッカー選手の姿が子どもたちの成長を加速させていく。

「生半可な気持ちでは、アスリートにはなれない」。日本代表で見てきた負けず嫌いな選手たち、ケガをした仲間から学んだこと、そして息子へ伝えたい人生の教訓。そのすべては、サッカーだけではなく、人生を歩むうえでも大切な価値観につながっている。ヴィッセル神戸で新たな挑戦を続ける権田修一選手。その姿は、ピッチの内外を問わず、多くの人に勇気と刺激を与え続けていく。

INTERVIEW&EDIT:Yohsuke Watanabe (IN FOCUS)
TEXT:Kodai Wada

  • ヴィッセル神戸
    権田修一

    1989年生まれ、東京都出身。2度のワールドカップも経験したベテランゴールキーパー。2025シーズンからヴィッセル神戸に加入。2026年のJ1百年構想リーグ終盤には出場機会を増やし、鹿島アントラーズとのプレーオフラウンドでは2試合ともに安定したパフォーマンスを見せるなど、守護神としての存在感を示した。長男もヴィッセル神戸のジュニアユース(U-15)に所属している。

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