
【前編】「ここなら、まだ成長できる」。権田修一がヴィッセル神戸に感じた覚悟と、確かな手応え
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日本代表として長年ゴールマウスを守り、海外リーグでも豊富な経験を積んできた権田修一選手。2025シーズンからヴィッセル神戸に加わり、新たな挑戦をスタートさせた。移籍を決断した理由、チームに感じた"基準の高さ"、そしてクラブ全体が掲げるアジア制覇への想いとは――。前編では、ヴィッセル神戸というクラブの魅力と、権田選手が見据える新たな目標について、2026/27明治安田Jリーグ開幕前の夏季トレーニングキャンプ「楽天モバイル最強キャンプ2026」で話を聞いた。
日本代表として国際舞台を戦い、ヨーロッパでも経験を積んできた権田修一選手。数々の修羅場をくぐり抜けてきたベテランは、新たな挑戦の舞台にヴィッセル神戸を選んだ。国内屈指の実力を誇るクラブへ移籍した理由は、「ワクワクした」という率直な感情だった。選手同士が妥協なく要求し合う空気、本気でアジアの頂点を目指すクラブの姿勢、そして自身ももう一度世界へ挑戦したいという想い。37歳となった今なお成長を求め続ける権田選手。その視線の先には、どんな未来が広がっているのだろうか。

シーズン開幕戦となった、8月8日のアビスパ福岡戦にもスタメン出場を果たした。
——今年はシーズン前のキャンプが北海道になりましたが、コンディションはいかがですか?
「気候が涼しいので、選手たちにとってやりやすいというのはもちろんのこと、地元の子どもたちにとってもよい影響があるのかなと思っています。北海道はJリーグのクラブがコンサドーレ札幌だけなので、ホーム開催の試合以外は、なかなか観に行く機会も限られてしまうと思うんです。こうやってシーズン前にほかのクラブが訪れることでサッカーに触れる機会が増えて、将来的に北海道出身のよい選手がどんどん増えてほしいなと思います。つい先日も北海道でサッカー教室を開きました。たくさんの子どもたちが来てくれたので、そういった機会も増やしていきたいですね」
——権田選手は2025シーズンからヴィッセル神戸に加わりました。加入の決め手は何だったのでしょうか?
「楽しそうだな、ワクワクするなっていう想いが一番でした。Jリーグでヴィッセル神戸と対戦していたときに常に感じていたのは、選手同士が要求し合うプレーの基準が明らかに他の国内クラブとは違うということ。素晴らしいプレーをしていても、ほんの少しのズレがあれば納得しないし、試合に勝つだけでは満足しない。それほど徹底して高いレベルで取り組める環境は貴重なので、ここに身を置けるのはすごく楽しみだなと思えました。あとは、やはりアジアチャンピオンズリーグエリート(ACLE)を本気で獲りにいくという姿勢を感じられたことですね。僕は選手登録の時期の関係で、2025シーズンは移籍後もJリーグの試合には出場できなかったのですが、それでもヴィッセル神戸の方が『いっしょにアジアを獲ろう』とオファーを出してくれた、その心意気に胸を打たれました。ここでなら自分はまだまだ成長できるし、自分の経験やノウハウを還元できるとも感じたので、移籍を決めました。実際に加入してみて、本当に楽しいですね」
——日本代表時代からのチームメイトも多いですが、どのように感じていますか?
「大迫や武藤、酒井とは若い頃からいっしょにプレーしていますし、彼らの存在はこのチームにとって本当に大きいと思います。本当に負けず嫌いなんですよ、昔から(笑)。練習中のちょっとしたゲームとかでも勝ち負けにものすごくこだわる性格だったので、そんな彼らが主軸のチームなのであれば、自然とレベルの高いチームに引き上がっていきますよね。心強い存在です」
——J1百年構想リーグのプレーオフラウンドでは大活躍でした。シーズンを振り返っていかがですか?
「山あり谷ありのシーズンでしたが、結果的に優勝できましたし、最後はピッチに立つこともできたので、その部分に関してはよかったかなと思います。一方で、個人的にはトータルのプレー時間はあまり長くなかったですし、ACLEも出場機会がなかったので、満足はしていません」
——キャンプでのチームの雰囲気はいかがですか?
「やはりチーム全体として、ACLE優勝というのが基準にある中で『このレベルでいいのか?』というのは常に全員が意識していると思います。J1百年構想リーグを優勝できたのはよいけれど、いまのままで中東のクラブに勝てるかと言ったら、難しい。もっと強くならないといけないと思います。ACLEの結果には多分誰も満足していないですし、Jリーグを優勝していながらも、課題感・危機感を持ちながらキャンプに臨めているのは、すごくヴィッセル神戸らしいなと感じていますね」
——ACLEのような国際舞台で勝つことの難しさを教えてください。
「Jリーグでやっているサッカーと、あらゆる条件が異なります。対戦相手のレベルはもちろんですが、戦術、気候、移動時間、レフェリーの基準、スタジアムの雰囲気も全然違います。また近年、中東のクラブは大きなお金を動かして、欧州や南米からトップレベルの選手を獲得しています。普段の基準のままでプレーしていると、アジアの舞台では対応できません。数センチや数秒の差が、致命的になります。そのディテールの部分を突き詰めて日々プレーできるかどうかが大事ですね」
——JリーグとACLEを両立させる難しさもありますよね。
「ACLEだけに集中してやっていれば優勝できるかというと、そんな簡単ではないと思います。日々の練習から全力で取り組むから緊張感が生まれるし、国内のリーグ戦で結果を残しているから自信がつく。そうすると、リーグ戦ではレギュラーではない選手も『オレならもっとやれる』と成長していって、選手層が厚くなる。その積み重ねでアジアチャンピオンになれるんじゃないかと思っていますね」
——権田選手個人としての目標を教えてください。
「まずヴィッセル神戸でタイトルを獲得すること。そして個人的には、FIFAワールドカップを本気で狙っていきたいと思っています。今年行われたワールドカップを観ていても、40歳前後のゴールキーパーが非常に活躍していました。僕はいま37歳なので、4年後は41歳。可能性は全然あると感じます。そして4年後に本気でそこを目指すとなったときに、いまのヴィッセル神戸の目線は、自分の目線ともリンクするんです。ヴィッセル神戸は本気でアジアチャンピオン、そして世界を目指しているし、僕ももう一度世界の舞台に立ちたい。ヴィッセル神戸で結果を出すことが、一番の近道だと思っているので、アピールしていきたいです」

Jリーグを制したいまも、選手たちは現状に満足していない。その視線の先にあるのは、アジア、そして世界。「ヴィッセル神戸で結果を残すことが、自分がもう一度世界を目指す一番の近道」。クラブと自身の目標が重なるからこそ、権田選手は今日も高い基準を求め続ける。後編では、子どもたちへの想いや、生観戦だからこそ伝わるサッカーの魅力、そして息子へ伝えたい大切な価値観について迫る。
INTERVIEW&EDIT:Yohsuke Watanabe (IN FOCUS)
TEXT:Kodai Wada
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- ヴィッセル神戸
- 権田修一
1989年生まれ、東京都出身。2度のワールドカップも経験したベテランゴールキーパー。2025シーズンからヴィッセル神戸に加入。2026年のJ1百年構想リーグ終盤には出場機会を増やし、鹿島アントラーズとのプレーオフラウンドでは2試合ともに安定したパフォーマンスを見せるなど、守護神としての存在感を示した。長男もヴィッセル神戸のジュニアユース(U-15)に所属している。
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