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【Tarzan特別編集】いつか、ダンクをしてみたい。横浜ビー・コルセアーズ、キング開に教わる「高く跳ぶためのカラダの使い方」

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リングに向かい身体ごと舞い上がる。ボールを豪快に叩き込む、あの一瞬。バスケットボール最大の見せ場であるダンクシュートは、じつは筋肉自慢や高身長だけの特権じゃない。身体の使い方を知れば、誰にだってチャンスはある。教えを乞うたのは、B.LEAGUE PREMIER(以下B.PREMIER)・横浜ビー・コルセアーズのガード、キング開選手。助走、踏切、ジャンプ&ダンク。3つのステップに分解すれば、リングは思っているよりずっと近い。

バスケの花形と言えば、やはりダンクシュート。

バスケットボールで、ボールをリングの上から直接叩き込むプレーをダンクシュートと呼ぶ。「ダンク(dunk)」とはアメリカ英語で「勢いよく打ち込む」という意味があり、リングにボールを豪快に沈める様子から、そう呼ばれるようになった。

「バスケをしていたら、誰でも決めてみたいのがダンクシュート。僕がはじめてダンクができたのは高校1年生のとき。とても嬉しかったことを覚えています」

そう語るのは、B.PREMIER所属の横浜ビー・コルセアーズが誇るポイントガード兼シューティングガードであるキング開選手。両親ともにバスケ経験者。幼少から自宅のテレビでNBAの熱い試合が流れる環境で過ごすうちに、ごく自然にボールを手に取った。

両親のもとバスケ漬けの毎日を送った少年時代。物心つく前から、コートはもう日常の一部だった。

「父は『オレのダンクはすごかった!』が口癖。動画とか何も残っていないから口だけかもしれませんが(笑)、『将来ダンクを決めるために、ジャンプ力につながるふくらはぎの筋肉を鍛えておきなさい』とアドバイスされたのでカーフレイズをずっと続けていました。それもダンクができるようになった一因かもしれませんね」

父から教わったというふくらはぎのトレーニング、カーフレイズ。

子どもの頃から憧れていたのは、シカゴ・ブルズなどで活躍したデリック・ローズ選手(2024年引退)。史上最年少となる22歳でNBAのMVPに輝いたスタープレーヤーだ。

「ポジションは僕と同じポイントガード。その本来の役割はチームの司令塔ですが、ローズ選手はダンクも爆速でめちゃくちゃカッコいい。YouTubeで観てみてください。僕は彼に憧れてダンクの練習を繰り返していました。まだまだ彼のようなダンクはできませんが、好きな選手のダンクの動画を何度も観ながら、『いつかあんなふうに決めてみたい』と思ってモチベーションを持ち続けるのは、ダンクを成功させる第一歩かもしれません」

ダンクを3ステップで理解する

ひと口にダンクといってもさまざまなスタイルがあり、シチュエーションによってもやり方は変わる。ドリブルで持ち込んで決める場合もあれば、パスを受けてから飛ぶこともある。また両手でのダンクもあれば、片手でのダンクもある。

「初心者がダンクを決めるなら、両手でボールを持ったままリング下まで走り込み、両脚で踏み切ってジャンプし、片手を伸ばしてボールを入れる方法がもっとも成功率が高いと思います」

選手たちは反復練習により、身体で覚えてダンクを無意識に行っている。それを初心者でも効率的に学べるように、ダンクをバイオメカニクス(生体力学)的に分析。アスリートの指導経験も豊富なパーソナルトレーナーの神戸貴宏さんの言葉も借りながら、ダンクを3ステップに因数分解してもらった。

1.助走

ステップ1は、ボールを両手に持ちながらの助走。

半円を描くような助走が遠心力をジャンプのエネルギーに変える。

「まっすぐではなく、半円を描くようにリング下までスピードに乗って走り込みます。すると円運動の遠心力をジャンプのエネルギーに転換できるのです。リングの方向へ正確に飛べるように、目線はつねにリングに向けておきます」(以下、神戸トレーナー)

2.踏み切り

ステップ2は、切り替えからの踏み切り。


軸脚を横向きに踏み出し、膝でロックする瞬間。

「ジャンプする寸前、身体の向きに対して横向きに軸脚を踏み出します。膝の関節は曲げ伸ばしは自在でも、ねじれない構造ですから、膝で動きがロックできる。それにより助走で生じたエネルギーを、垂直方向へのジャンプに使えるようになります。同時に素早く沈み込み、ジャンプの準備を行います」

3.ジャンプ&ダンク

ステップ3は、ジャンプからのダンクシュート。


利き腕をできるだけ高く伸ばし、そのままリングへ叩き込む。

「床を蹴って高く跳んで伸び上がり、利き腕をできるだけ高く伸ばしながら、反対の手からボールを預けます。上昇中は上向きのベクトルが働いているので、ボールを掴もうとしなくても、手のひらに吸い付いてくれるはず。そのままリングにボールを投げ入れれば、ダンクが完成します」

助走、踏切、ジャンプ&ダンク。頭で理解しても、身体が覚えていなければ意味がない。3ステップを血肉化するために、取り入れたいのが専用のドリルだ。

ダンクシュートのために行いたい3つのドリル

ここで改めてダンクに必要な身体的な条件を考えてみよう。

バスケでは、まっすぐ立った姿勢で、片手を一番高く伸ばしたときのリーチを「指高(スタンディングリーチ)」と呼ぶ。指高の平均は、身長180cmで235〜240cm程度。バスケのリングの高さは305cmで、ボールをリングに叩き込むためには、手のひらがリングより上に出ている必要があるため(15~20cm程度)、この場合は85cmほどの跳躍力があればダンクできる計算。実際、キング選手が高校1年生で初ダンクを決めたときの身長も180cm前後だったそうだ。

片手を目一杯伸ばした状態が「指高」。ここからどれだけ跳べるかで勝負が決まる。

しかし、B.PREMIERには身長160cm台でダンクを決める選手もいる。日本の成人男子の平均身長は172cm弱だから、平均的な身長でも練習次第でダンクを決めるのは不可能ではなさそう。

そこでダンクの3ステップを踏まえて、神戸トレーナーにダンクを決めるための3つのドリルを考えてもらった。

「闇雲にただダンクにトライするのではなく、ドリルで基礎的な身体の使い方、ジャンプ力などの身体能力を高めながらダンクに挑戦する方が、成功率は上がると思います」(神戸トレーナー)

※キング選手のように左脚が軸脚の場合。右脚が軸脚なら左右を変えて同様に行う。

①ギャロップ走 3ポイントライン1周×1セット

狙い:踏み切る脚に遠心力と推進力を十分に伝える。

3ポイントラインのカーブに合わせてギャロップする。ギャロップとは、片脚(この場合左脚)をつねに前に出し、反対の脚(この場合右脚)がそれを追いかけるようにリズミカルに弾みながら走る動き。右脚で「ポーン」と1回踏み込むたび、左脚で「ポポン」と素早く2歩ステップし続ける。その際、右脚の股関節を意識して右側の骨盤を前に押し出す。

②クロスステップ 10回×1セット

狙い:膝でロックした瞬間、身体が潰れないように体幹の剛性を高める。

両脚を肩幅に開いて立ち、膝を緩めて軽く沈む。床へ斜めに突き刺すように、左脚を右脚にクロスさせて右へステップして膝をロックし(左の股関節は外向きに外旋する)、右脚を右側へステップ(右脚を内向きに内旋する)。助走からの切り替えをイメージしてスピーディに続ける。

③バーティカルジャンプ 10回×1セット

狙い:反動を使って高く速くジャンプする。

両脚を肩幅に開いてまっすぐ立ち、両腕を曲げて胸の前で構える。股関節を曲げて、できるだけ素早くしゃがみ、その反動を使ってその場で高くジャンプ。身体に負担をかけないように、股関節と膝を曲げて着地。衝撃を吸収する。

子どもたちにバスケの魅力を伝えるお手伝いがしたい

2026年9月22日に開幕する「B.PREMIER 2026-27シーズン」は、勝負のシーズンになる。キング選手はそう決意を語る。

「来季からルールが変わり、1チーム5人のうち、4人の外国籍プレーヤーが同時にコートに立てるようになる。すると海外から優秀な選手が大勢やってくるでしょう。そのなかでも競争に打ち勝ってポジションを守り、自身のよさを出しながら外国籍のプレーヤーとも対峙し、チームにどれだけ貢献できるかが問われる。それはワクワクする部分でもありつつ、相当の覚悟を持って臨まないといけないチャレンジだと思っています」

プレーの質をさらに高めるため、いま取り組んでいるのがピラティスだ。

「昨季はディフェンス面を強化し、外国籍の選手とマッチアップしてもしっかり止められるようになりました。来季はそれに加えてもっと得点に絡むシーンを増やしたい。これまでのフィジカルトレーニングは、身体をデカくするのが主な狙い。おかげで当たり負けしないようになりましたが、来季はそれだけではなく、いかにボディバランスを保って質の高いプレーができるかという点に磨きをかけたいです。そのためにピラティスで体幹のインナーマッスルを鍛えています」

来季に向けて、練習にも一段と熱が入る。

そしてこの先もずっと継続したいのは、子どもたちや地域との触れ合いだ。

「僕は、横浜生まれの横浜育ち。2010年に横浜ビー・コルセアーズができて、プロのバスケ選手と間近に接することで『あんなふうに活躍したい』とプロへの憧れが一層強くなりました。プロになった自分にできる恩返しは、ひとりでも多くの子どもたちがバスケに興味を持ち、バスケを通してコミュニティの絆を深めるお手伝いをすることだと思っています。そのために地元横浜はもちろん、日本各地のイベントに積極的に参加し、子どもたちや地域の人たちにバスケの魅力と楽しさを伝えていきたいです。母校の後輩やミニバス(12歳以下の小学生を対象としたバスケットボール競技)の子どもたちを、ビーコルの試合に招待する活動もどんどん続けていきます!」

【Tarzanweb.jp】
ウェブメディア『Tarzan Web』では、雑誌創刊以来続いてきたエビデンスの確かな情報を、ウェブならではの軽やかさで、毎日配信。“Best Answer for Well-Being”をタグラインに、健やかで心地よいライフスタイルを実現するためのヒントを提供していきます。

TEXT:Kenji Inoue
PHOTO:Shintaro Yoshimatsu
ILLUSTRATION:Naoki Shoji
EXERCISE SUPERVISOR:Takahiro Kanbe
EDIT:Junichi Asakura (Tarzan)

  • バスケットボール
    キング開

    幼少からバスケットボールを始め、高校、大学時代から世代別の日本代表候補に選出されるなど活躍。専修大学在学中の2021-22年シーズンに横浜ビー・コルセアーズへ加入。ポジションはポイントガード兼シューティングガード。3人制ではU-23日本代表としてワールドカップやネーションズリーグに出場。身長185cm、体重90kg。2000年、横浜市生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。

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