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「野球が好きだから続けられる」——楽天イーグルス前田健太が11年ぶりの日本で描く“いい未来”

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メジャーリーグでの10年間を経て、日本球界へ戻ってきた前田健太投手。「先発ピッチャーとしてもう一度勝負したい」という想いと楽天イーグルスの熱烈なオファーが重なり、東北の地での新章がはじまった。メジャーで学んだダイバーシティの精神、変わらぬ原点、そして野球を愛する子どもたちへのメッセージ——38歳の右腕が、これからの野球の"いい未来"を語ってくれた。

“困ったときには、しっかり答えを出し、助けられる存在でありたい”

――11年ぶりの日本球界復帰、そして楽天イーグルス入りを決めた理由を教えてください。

「石井GMから『日本一になるために必要だ』と熱く伝えてもらったんです。昨年楽天イーグルスには先発で2桁勝利と規定投球回数を達成した選手がいなかったと聞き、『先発ピッチャーとしてもう一度勝負したい』という自分の気持ちと、球団の想いが一致していると思いました。何よりもいただいた熱意に応えたいと考え、入団を決意しました」

――チームに合流してみて、雰囲気はいかがでしたか?

「みんな明るく、積極的にコミュニケーションを取ってきてくれて、とても雰囲気がいいと感じました。年上は岸さんだけで、ほかの選手は全員年下だったので少し不安もあったんですが、キャンプインから数日でその不安はすぐになくなりました」

――楽天モバイル 最強パーク宮城には、メジャーリーグに行く前から交流戦などで来られていたと思いますが、どんな印象を持っていますか?

「登板はなかったのですが、広島カープ時代から来るのを楽しみにしていました。当時は観覧車は完成前でしたが、今では観覧車に加え、まわりに楽しめるスペースもできて、スケールアップしている。こんな球場はほかにはあまりないですよね。ファンの人がいろいろと楽しめる日本でも数少ない球場だと思います」

――キャリアを積んできたベテランとして、チームの中でどのような役割を担いたいと考えていますか?

「これまでの経験をチームに還元することを期待されていると思います。ただ、ほかの選手もそれぞれに自分でがんばって積み上げてきたものがあると思うので、僕の考えを強制したり、押し付けたりはしないようにしたい。そのうえで困ったときやアドバイスを求められたときには、しっかり答えを出し、助けられる存在でありたいです」

“毎日の練習が楽しみで、グラウンドに行っていました”

――楽天グループでは「スポーツとともに、もっといい未来へ。A BETTER FUTURE TOGETHER」というスローガンを掲げています。プロ野球選手という夢を実現するために、目標にしていた選手や大切にしていた練習はありますか?

「イチローさんが好きで憧れていました。ドラフト1位でプロ野球選手になるという夢をずっと持っていましたが、その頃は投げるだけでなく、打つことも守ることも含めて野球すべてを楽しんでいました。みんなが遊んでいる時間も練習をしていましたし、家族でどこかに遊びに行くより野球をしているのが好きでした。夏休みも冬休みも練習していたので、ほかの人よりも野球に注ぐ時間が多かったのは確かですね」

――休みでも練習されていたんですか?

「高校でも寮に入っていましたし、振り返ってみると小・中・高とほぼ毎日野球をやっていました。でもそれが苦ではなかったんです。毎日の練習が楽しみで、グラウンドに行っていました。楽しんでやることがいい結果に結びついたのかな、と思います」

――野球がもたらす“いい未来”とはどのようなものだと思いますか?

「僕たちが全力のプレーを見せることで、プロ野球選手に憧れている子どもたちやファンの人たちの生活にいい影響を与える。それが野球選手としての一番のやりがいだと考えていますし、僕たちにとってもファンの人の声はとても励みになる。そうやってお互いが刺激し合える関係が続くのが、野球がもたらす“いい未来”なのではないでしょうか」

――楽天グループでは、ダイバーシティについてもさまざまな取り組みを行っています。前田選手はメジャーリーグでの10年間、さまざまな背景を持つ選手やファンたちと過ごされてきましたが、全員がともに戦い、楽しむうえで大切なことは何だったと思いますか?

「アメリカでいろいろな国の選手やファンとひとつになって戦った経験は、僕の野球人生において本当に大きかったです。その中で得たのは『自分と違う』と考えるのではなく、『その違いに興味を持って、お互いを尊重して学び合う』こと。勉強になることはとても多かったですし、ひとりの人間としてすごく成長できたと思います」

“小学校1年生の子も、僕も、野球が好きで楽しいという気持ちは同じ”

――自身の今後の未来をどのように思い描いていますか?

「自分のキャリアをどのような形で終えたいかという想像はあまりしていないし、考えないようにしているんですよね。日本一になるために、勝てるピッチャーでありたいし、強いボールを投げたいし、チームにたくさん貢献したい。体も元気なので、まだまだがんばりたいです。入団会見で200勝したいと言ったので、そこを達成するのがいまの大きな目標ですね」

――プロ野球選手を目指す子どもたちへ、もっとも伝えたいのはどんなことですか?

「野球を好きであること、そして楽しむこと。それが一番大事です。ケガでうまくいかないときも、辞めたくなるときも絶対あると思う。でも結局は好きだから続けられるんです。小学校1年生の子も、僕も、野球が好きで楽しいという気持ちは同じだと思うので、その気持ちを常に持ち続けてほしいです」

幼少期から休日も野球に向き合い、イチローさんへの憧れを胸に駆け抜けてきた少年は、日米通算150勝以上を誇る右腕として再び日本のマウンドに立つ。「終わりは考えないようにしている」という言葉の裏には、まだまだ燃え続ける野球への情熱がある。「好きだから続けてきた」——その純粋な気持ちを次世代へとつなぐことが、前田健太が描く野球の”いい未来”だ。

※この取材は2026年3月に行われたものです。

TEXT & EDIT:Satoru Komura (IN FOCUS)
PHOTO:Atsutomo Hino

  • 楽天イーグルス
    前田健太

    1988年4月11日生まれ。大阪府出身。PL学園高校から2006年のドラフト1位で広島東洋カープに入団。日本を代表するエースとして数々の実績を残したのち、2016年にロサンゼルス・ドジャースへ移籍し、ミネソタ・ツインズ、デトロイト・タイガースでプレー。2026年に11年ぶりに日本球界へ復帰し、東北楽天ゴールデンイーグルスに入団した。先発の柱として期待がかかる。

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