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やり投選手、武本紗栄。「人を作る」スポーツの可能性がさらに広がる未来を

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楽天スーパーナイターでセレモニアルピッチを務めた武本紗栄さんは、世界レベルの技術を持つ女子やり投選手として有望視されている日本代表の1人。そんな武本選手にとってスポーツは、自分自身を大人へと成長させてくれた大切な存在だという。これまでの彼女を形成してきた環境と、これからの価値観とは。「スポーツとともに、もっといい未来へ」。楽天が掲げるテーマに対する、次世代アスリートのメッセージ。

――武本選手にとって「スポーツとともにあるもっといい未来」とはどんな未来ですか?

武本紗栄(以下、武本)「スポーツには人を大きく成長させる要素があると思うんです。私の経験上ですが、気配りを覚えることができたり、それこそ感謝の精神が芽生えたり。だからこそ、これからもスポーツが多くの人にとって身近な存在であってほしいし、自由にチャレンジできる環境がさらに整うことを望んでいます」

――自由にチャレンジできる環境、というのは特にやり投においても重要なポイントですか?

武本「ヨーロッパをはじめとする諸外国には、スポーツと触れ合うきっかけがやり投だったという選手もいます。ですが、日本国内でのやり投は多くの人にとってまだまだ身近な競技ではないように感じていて。私自身も野球を経由してやり投に行き着きましたし、周りもソフトボール経験者など『投げること』が得意だった子が集まってきている印象です。だから、もっと自由にチャレンジできる環境が整っていけば、若い世代に『こんなスポーツがあるのか』と知ってもらえる機会が生まれて、選択肢を広く持つことができると思うんです。ジャベリックボールを投げたりするだけでも違うと思いますし、今後はそういったことを少しずつでも伝えていける存在になれたらいいなと思っています」

――やり投をしていて、一番楽しいと感じる瞬間はどこですか?

武本「最初の頃は飛距離を伸ばしていくことでした。もともとプレーしていた野球のボールとは握り方が異なるのでちょっと苦戦しましたが、理解できてきたら気持ちいいくらい遠くに飛ぶんです。そこからメダルがもらえるようになって、みんなから祝福してもらえたり。そういったことに楽しさを見出していましたが、少しずつ大人になって、今はやり投を通じて国内外問わずたくさんの人と出会えることや、さまざまな考えに触れられる喜びのほうが大きくなっているように感じています」

――野球を経験したことで良かったと思う点はありますか?

武本「私って地肩が強いほうなんだなと認識できて、それが自信につながっていることです。小学生の頃のソフトボール投げは70メートル近くだったと思います。それもあって、やりを投げる瞬間までに少しフォームが崩れてしまったり技術的な部分でうまく繋がらなくても、ある程度までは肩の力でなんとかできます。なので、大会で不安になることはほとんどないというのは私の強さかもしれません。それなのに、今回のセレモニアルピッチはめちゃくちゃ緊張したんですけどね……(笑)」

――ところで、武本選手と楽天イーグルスの安田悠馬選手は同じ兵庫県神戸市出身の同学年とお聞きしました。

武本「はい。でも、まさかセレモニアルピッチでバッテリーを組むことになるなんて思ってもいませんでした。私と違って彼は小学生のときから強豪チームに所属していたので。頻繁に連絡を取りあったりするわけではなかったので、ドラフトで安田悠馬選手の名前が挙がったのを知ったときは驚きました。それでメッセージを送ったら『そうやねん』って(笑)。今日は本当にいい思い出になりました」

――今後に向けて、どのような選手でありたいですか?

武本「今年の4月頃に上京して現在は味の素ナショナルトレーニングセンターを練習拠点にしています。なのでまずは、今まで出会ったきた人や応援してくれる人に感謝を伝えるためにも競技を続けられる心と体を磨いていきたいと思っています。そして最終的には、自分が経験してきたことや知識を次の世代につなげる存在として、親しみやすくて愛される人間でありたいと思います」

INTERVIEW&TEXT:Keisuke Honda PHOTO:Masato Ura

  • 武本紗栄

    1999年生まれ。兵庫県神戸市出身。「Rakuten Sports」とマネジメント契約を結ぶやり投選手。高校入学を機に、小学生から続けてきた野球からやり投に転向。野球で培った肩の強さを武器に、「第70回全国高等学校陸上競技対抗選手権大会」と「第72回国民体育大会」少年女子共通において優勝を経験。その後、大学へ進学。「2021日本学生陸上競技個人選手権」において、62m39(日本歴代4位)を記録し、自己ベストとともに優勝を果たす。2022年、「第106回 日本陸上競技選手権大会」において3位入賞を果たしたのち、「第18回世界陸上競技選手権大会」に日本代表として出場し、11位に入賞。

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