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銀次が体現する、信念不抜。楽天マインドを宿した選手たち

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楽天グループが掲げる、「大義名分」「品性高潔」「用意周到」「信念不抜」「一致団結」というブランドコンセプト。もしもこの5つを、東北楽天ゴールデンイーグルスの選手に当てはめてみたらどうだろう?不思議と、いや必然的に、しっくりと来るラインナップが見つかった。「信念不抜」は銀次選手に。日本一を目指す、揺らぐことのない信念。生え抜きのベテラン、そして東北出身者として、簡単には諦められない理由がある。

銀次選手は、2006年のプロデビュー以降、現在までイーグルスで活躍を続けている。出身は岩手県普代村。2011年3月11日も、東北に拠点を置くこのチームのメンバーだった。 プロ野球選手はきっと誰もが、良いプレーをして、チームの勝利に貢献し、優勝を手にすることを目標にしている。すべては応援してくれるファンのために。もちろんみんながそれを叶えられるわけではない。厳しい競争の中で、突きつけられる現実を受け入れなくてはいけない時がある。信念とは、そんな瞬間にこそ垣間見えるものなのかもしれない。彼らは何を背負っているのか。

「2011年の東日本大震災を境に、プロ野球選手としての考え方が大きく変わりました。プロデビューしてからあの時までは、“野球を頑張る”といった意識もないくらいただひたすら、がむしゃらにやっていただけでした。それがやっぱり、被災地の光景を目にしたことや、被災された人たちとの会話がきっかけになって、これは自分がなんとかしなきゃいけないと考えるようになったんです。東北出身者の僕が活躍することでみんなを元気にしたかった。ほんの少しかもしれないけど、絶対にしなくてはいけないと思ったんです。その気持ちは、あれから12年が経ったいまも変わっていません。被災地に住む人たちのために活躍したい、優勝したい。2013年に日本一になった時に見られたみんなの笑顔をまた見たいんです。それを諦めてはいけない。だからもっと頑張りたいんです。

そう考え始めてから、以前より野球のことが好きになりました。と言うより、どんどん好きになってきている気がします。

昨年は代打で出場する機会が多かったんですけど、代打ってその時点で苦戦を強いられている状況の場合が多いですから、どちらかというと受け身になってしまいがちなんです。だけど、そんなプレッシャーすらも嬉しい。もう、楽しくてしょうがないんです。みんなが注目してくれている中での打席だから『ここで打ったら盛り上がるぞ』って。そう思えるようになってからは、一球目から自分のスイングで打ちに行くことだけを考えられるようになりました。こっちから攻めていこう、仕掛けていこうという気持ちで。

とは言え、すべてがうまくいくことなんてまずないんですけどね。打てないことだってもちろんあります。大切なのは、そうした前提をしっかり受け入れること。うまくいかなくて当たり前という気持ちでいることで、少しでもうまくいくようにと努力し、何が起こるか分からないからと準備できるのだと思います。その上で、たとえ打てなかったとしてもその時はすぐに気持ちを切り替えればいい。翌日までにリセットなんてのんびりはせず、その場面、その状況に応じて、次の一球までに持ち直すんです」

TEXT:Chiharu Abe

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