9月23日にヴィッセル神戸の本拠地・ノエビアスタジアム神戸（以下ノエスタ）で開催されたデコ活アクション IN KOBE。この日、お笑いコンビ・マシンガンズの滝沢秀一さんが、清掃員としても活動する“ごみ清掃芸人”の視点からイベントに参加した。「面白かった、ワクワクした」と笑顔で語る滝沢さんが、ノエスタが見つけた、スポーツの“もっといい未来”とは？

デコ活とは、脱炭素につながる環境にやさしい暮らしを楽しく実践する取り組みのこと。デコ活アクション IN KOBEのメディアツアーに滝沢さんも参加した。

デコ活アクション IN KOBEは、楽天グループ、ヴィッセル神戸、INAC神戸レオネッサ、そして神戸市が協力して実施。楽天グループが掲げる「スポーツとともに、もっといい未来へ。 A BETTER FUTURE TOGETHER」というスローガンのもと、スポーツ観戦という多くの人が集まる機会を活用した環境アクションの試みになっている。

——​​今回のイベントに参加されてみて、率直な感想をお聞かせください。

「面白かったです。ワクワクしたというか。僕も普段からリサイクルしましょう、分別しましょうって活動してるんですけど、そんなこと言っても『嫌だな、面倒くさいな』っていう人が多いじゃないですか。でも今回みたいに、スポーツを通して知ってもらえるのって、すごくいい機会だなと思いますよね」

——​​会場で特に印象に残ったブースはありますか？

「『わけっこシュート』が長蛇の列でしたよね。ボールと同じ色の穴にシュートを決めて、ごみの分別を学べるゲームなんですけど、みんな楽しんでやってました。最初は子どもも『ただボール蹴るだけ』かもしれないけど、『分ける』っていう考え方を知るきっかけになる。そうすれば、普段の生活も変わってきますもんね」

楽天が実施した『わけっこシュート』は、ボールと同じ色の穴にシュートを決めるゲーム形式で、楽しみながらごみの分別を学べる体験コーナー。子どもたちに大人気だった。

——​​2024年にスタジアムで使われていた看板（ファサード）をバッグやキーホルダーに作り変える『「スポーツとともに、もっといい未来へ。」アップサイクルプロジェクト by Rakuten』についてもじっくり見られていましたね。

「アップサイクルグッズ、いいですよね！ファンの方が『看板のどこの部分がほしい』って迷ってました。スタジアムで実際に使われてたものが手元に残るって、特別な記念になりますよね」

——​​イベントではグッズ購入時の包装袋をリサイクルして作った「循環型ショッパー」も150円で販売されていましたが、価格についてどう思われますか?

「正直、もっと高くてもいいと思いますよ。僕はね、何でも有料にするべきだと思ってて。ただで配られてるものって、たくさん捨てられるのを見てきたから。あらゆるものに価値を付けないとダメなんですよね。『リサイクル品だからいいでしょ』みたいにサービスであげちゃうと、絶対捨てられますよ。何だったら選手の写真やメッセージも入れたら、もっと価値が生まれて、可能性を感じますよね」

グッズ購入時に不要になった包装用プラスチック袋を回収し、再加工したショッパー。

——​​清掃員の視点から、ファンの方に意識してほしいことはありますか？

「まずは『楽しんで』でいいと思うんですよね。今回は、ごみの分別や紙・プラカップの回収なんかに参加するとスタンプがもらえて、集めるとヴィッセル神戸のグッズが当たる抽選に参加できる仕組みでした。デコ活って言われても何のことかわからなかったりしますから、入口としていいと思うんです」

——楽しい​​入口から、どう生活に落とし込んでいくかが大事なんですね。

「そうです。きっかけを与えて、普段の生活に落とし込む。リサイクルって習慣ですもんね。まずは今回みたいにスタジアムで企画に出会って、『家でもやればいいんだな。今度持ってこうかな』って思えたらいい。会場には使用済みの歯ブラシを持ち込めるエコノバブースもあって、大量に持参している方もいました。試合のために貯めてたんだなって。そうやって生活に落とし込むのが大事ですよね」

ペットボトルキャップやビン・カンなど、飲食ブースで出た資源を持ち込めるブース。多くのサポーターが活用している。

——​​会場には、豆腐容器を車の部品にリサイクルするという展示もありました。実際の部品も展示されていて、来場者の方が興味深そうに見ていましたね。

「リサイクル後の姿を実際に見てもらうのって、すごく大事なんですよ。具体的に『豆腐容器が車の部品になる』って見せると、『だったら汚れ落とした方がいいよね』ってなるじゃないですか。ごみ分別って、意外と、ルールだから守ってるだけで、みんな面倒くさいと思ってるんですよ。そうじゃなくて、『これを集めたらこうなる』って完成形を見せたら、自然と協力したくなりますよね」

——​​楽しく参加できる仕組みがあって、リサイクル後の姿も見える。こうした取り組みが、スタジアムで行われることの意味は大きいですね。

「ものすごい影響力ですよね。スタジアムには毎試合、何万人も集まりますから。たとえば食品トレー1枚持ってってもしょうがないなって個人は思うかもしれない。でも今回みたいに、何万人という来場者が全員1枚ずつ持ってきたら、とんでもない量になりますからね。本当にちょっとしたことでいいと思うんですよね」

——​​何万人もの小さなアクションが大きな力になる。それを今後も広げていくために、大切なことは何でしょうか？

「一番大事なのは、継続していくことだと思います。同じ強さでずっと言い続けるってことです。僕なんかよくXで発信してるんですけども、たとえば『ピザの箱はダンボールじゃないですよ、資源じゃないですよ、可燃ごみですよ』って言うと、急にバズることがあったんですね。何十万いいねみたいな感じで。でもそれ、実は10回ぐらいいままで同じこと言ってるんですよ。何十万いいねがついても『はじめて聞きました』っていう人がいる。意外と環境のことで何か発信する人って、だんだんヒステリックになっていくんですよね。一回言ったことをみんな理解してないとって、どんどん次に行ったりするんですよ。でもやっぱり『はじめて聞きました』っていう人に目線を合わせなきゃいけない。だからこのデコ活も同じで、同じ強さでずっと長く言っていくことが一番大事なんじゃないかな」

自身のXアカウントで【今日のごみトリビア】を発信する滝沢さん。同様の内容を繰り返し発信し続けているという。

——​​継続することで、気づく人が増えていくと。

「そうです。ごみって、想像力が足りないから全部ごみになっちゃうんですよ。『これ、ごみにならないんじゃないかな』って考えることが大事。僕はランドセルやぬいぐるみをフィリピンに送る活動もしてるんですけど、本当はまだ使えるものがたくさん捨てられてるんです。デコ活アクションもどんどん広げながら継続していくのが一番大事じゃないですかね」

——滝沢さんのお話から、小さなアクションの積み重ねが大きな変化を生むことがよくわかりました。最後に、スポーツを愛するファンのみなさんへメッセージをお願いします。

「スポーツを応援することと環境アクションって、実は同じなんですよね。試合を楽しんで、ちょっとブースを覗いて、ペットボトルのキャップを1個持ってくる。それだけでいい。でもその小さなアクションが毎週何万人も集まるスタジアムで続いたら、とんでもない力になりますから」

——​​小さな一歩が、大きな変化につながると。

「そうです。子どもたちが『わけっこシュート』で楽しんでる姿を見たら、家でも『これは燃えるごみ？資源？』って考えるようになるかもしれない。それが習慣になっていく。スポーツを応援する時間が、気づいたら未来を変える時間にもなってる。楽天グループはヴィッセル神戸だけじゃなく、東北楽天ゴールデンイーグルスやゴールデンステイト・ウォリアーズなど、いろんなスポーツチームとパートナーシップを結んでいるじゃないですか。そういうスポーツの現場で、こういう環境アクションが広がっていったら、影響力はものすごく大きいですよね。ファンのみなさんやスポーツチーム、スタジアムがいっしょになってこのデコ活をずっと続けていったら、未来は変わっていくと思います」

TEXT：Nariko Inoue
PHOTO：Yukiko Noguchi
EDIT：Yohsuke Watanabe (IN FOCUS)