エスコートキッズ、その存在が気づかせてくれること。子どもたちがスポーツの未来を“やさしく”守ってくれている？｜Rakuten SUPER MATCH

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Posted

2025.05.09

サッカーの試合でよく見られる、選手たちと手を繋いでいっしょに入場する子どもたち。4月6日に開催されたヴィッセル神戸の国立競技場ホームゲーム Rakuten SUPER MATCHでも、病気と闘っていたり、障がいを持つ子どもたちが参加してくれた。エスコートキッズと呼ばれる彼ら・彼女らには、実は素敵な役割があることを知っているだろうか？そう、ただ可愛いだけじゃない…！

エスコートキッズの存在が広く認知されるようになったのは、1998年のFIFAワールドカップフランス大会と言われている。その目的のひとつは、「選手たちにフェアプレーの精神を忘れさせないため」。コンタクトプレーが多く、注目度の高いサッカーの試合では、選手同士がヒートアップしてしまうこともしばしば。時には行き過ぎた行為により、チーム間や国家間、または民族間の問題へと発展してしまうケースもある。そんな選手たちに、「子どもたちが試合を見守っている」と意識してもらうことで、お手本となるフェアプレーを促すことが狙いとなっている。

また近年はファン・サポーター同士の衝突が起こることもあり、フェアプレーの精神が求められるのは、選手に限った話ではない。サッカー好きの子どもたちが観戦している中で、大人たちのトラブルが起きてしまったら、子どもたちはどう感じるだろう？また試合を観に行きたいと思ってくれるだろうか？サッカーをやりたいと思ってくれるだろうか？選手たちだけでなく、ファン・サポーターの一人ひとりが、エスコートキッズのことを意識して、自分たちの行動を省みるきっかけにしなくてはいけない。

そしてエスコートキッズたちにとっては、憧れの選手とピッチに入ること自体が貴重な経験となる。テレビの中で活躍していた選手が目の前にいたら、まさにヒーローと出会ったかのような気持ちになるはず。「いつかこの選手とプレーがしたい」「この舞台に立ってみたい」と思ってもらえたら、それがサッカー界の未来になる。エスコートキッズとしての機会を提供することで、サッカーの明日をつくり出している。

Rakuten SUPER MATCHでは、NPO法人AYAを通じて、病気と闘っていたり、障がいを持つ子どもたちがエスコートキッズとして参加してくれた。

AYAの代表を務める中川悠樹さんのコメント

「病気や障がいのある子どもたちが脚光を浴びる機会は、残念ながらあまり多くはありません。今回のエスコートキッズという特別な機会を通じて、彼らに『自分にもできた』という確かな実感と、それに至るまでのワクワクや、不安を乗り越えた経験を届けたいと思っています。ピッチに立つまでの間に、期待や不安、楽しみや怖さ、やる気や戸惑いなど、さまざまな感情が交錯するでしょう。それらを自分なりに受け止め、乗り越えていく。そして、緊張の中で役割を果たしたときに湧き上がる達成感は、きっと忘れられないものになるはずです。また大切なのは、“大人が心からスポーツを楽しむ姿”を子どもたちに見せることだと思っています。子どもたちは大人の背中を見て育ちます。大人が楽しんでいる様子であれば、子どもたちも自然と『混ざりたい』と感じると思います。スポーツは本来、自由で多様な楽しみ方ができるもの。だからこそ、まずは大人自身がその多様性を受け入れて楽しむことが、子どもたちの入口になると信じています」

エスコートキッズに参加してくれた保護者の方のコメント

「僕も昔サッカーをやっていたので、子どもがエスコートキッズとして参加し、感慨深いものがありました。武藤選手や大迫選手など憧れの選手たちと会うことができて、とてもいい経験ができたと思います。子どもにはいろいろなことを吸収しながら成長していってほしいですね」

エスコート——。元々は“護衛”の意味を持つこの言葉の通り、エスコートキッズはフェアプレーの精神を通じて、選手たち、スポーツの未来を守っているのかもしれない。そして選手たちに導かれて歩いた国立競技場の道は、彼ら・彼女らの夢へときっと続いている。

近年はサッカーだけでなく、野球やラグビー、テニスの試合に登場する機会も増え、エスコートキッズの存在がスポーツ界全体に浸透してきているように感じられる。フェアプレーの精神だけでなく、子どもの権利や多様性の尊重、平和の訴求、支援の表明など、様々なメッセージも込められながら。スポーツ観戦の時に、この小さな、しかしとても重要な存在を意識してみると、また違った角度でスポーツを楽しむことができると思う。

TEXT : Kodai Wada

PHOTO：Teppei Hori

EDIT：Yohsuke Watanabe (IN FOCUS)

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