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ヴィッセル神戸の躍進を支える菅原智コーチ。その仕事にともなう喜びと葛藤。「みんな想像を絶するプレッシャーを抱えていた」

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強くなるほどに集まる注目。期待されるほどに膨らむプレッシャー。喜びと苦しみ。選手だけでなくチームスタッフも、日々こうしたジレンマを抱えながら戦っている。常勝を求められるヴィッセル神戸の指導責任者として、菅原智コーチはいかに重圧と向き合い、輝かしい結果を残し続けているのか?

※この取材は2025年1月の沖縄トレーニングキャンプ時に行われたものです。

——2024年シーズンの成績を振り返り、どのように感じていますか?

「J1リーグと天皇杯を優勝することができ、これ以上ない最高の結果だと思っています。とは言え長いシーズンを振り返ると決して平坦な道のりではありませんでした。僅差の試合が続いてヒヤヒヤすることもありましたし、ケガ人が出てやりくりに苦労する場面もありました。難しい時間の方が長かったです。2冠の喜びは、そういった苦しみも含めた結果なのだと感じています」

——J1リーグ連覇が決まった瞬間の気持ちはいかがでしたか?

「選手、監督、コーチ、スタッフ全員で支え合いながら掴み取った勝利ですが、先ほどの通り苦しいことも多かったので、達成感や喜びと同時に安堵の気持ちが強く出ましたね。2023年にJ1リーグを初制覇したことで、ある意味勝つことが『当たり前』になりました。みんな想像を絶するプレッシャーを抱えていたと思います。大きな喜びと、ほっとする気持ちが同時に押し寄せてきたのは、そんな重圧のなかでシーズンを戦い抜いたからに他なりません」

——菅原コーチは、チームが2冠を成し遂げられた“理由”をどう見ていますか?

「まずは選手全員が成長してくれたことですね。それがチーム力として発揮され優勝につながりました。また新加入選手のフィットというのも大きかったです。前年にリーグ優勝して、チームとして基盤になる戦術や選手が固まったなかでチームを進化させるためには新戦力の活躍が欠かせませんでした。彼らがいち早くチーム戦術を理解して力を発揮してくれた。環境が変わったなかで本当によくやってくれたと思います」

——新加入の選手がチームにフィットするというのは、やはり簡単ではないのですね。

「環境が変わると難しいんです。一流選手であっても移籍後に活躍できず終わってしまうこともありますから。昨年も個人差はあったと思いますが、各々が努力してチームの戦力になってくれました」

——選手たちにはどのようなコーチングを心がけていますか?

「新加入かどうかにかかわらず、日々細かなコミュニケーションを取るようにしています。トレーニング中に声をかけることもあれば、別の機会に映像を使って個人的にフィードバックを行うこともあります。チームが何を求めていて、試合に出るためには何が必要なのか、どういった取り組みをしていきたいかなど相互に意見を交わします。ひとりでも多くの選手が戦力になれるようコーチングしていくのがわたしの役割なので、丁寧なコミュニケーションを心がけています」

——菅原コーチが自身の任務を果たす上で大切にされている信念を教えてもらえますか?

「ピッチの上に立ったらエネルギッシュに、魂を込めて自分の仕事をするだけだと思っています。戦術的なコーチングはもちろんですが、チームの雰囲気をよりよくするのも自分の仕事。ポジティブな声かけをして選手たちのモチベーションを上げるようにしています。また選手一人ひとりとしっかり向き合い、寄り添い、必要なことはきちんと伝えています。どんな選手も、調子がいい時もあれば悪い時もある。最高のパフォーマンスが出せるようしっかりとサポートしています」

——コーチングする上での難しさもありますか?

「たとえばシュート練習時に僕がクロスボールを上げることもあって、自分のプレーが選手たちの試合での活躍につながると思うとミスはできない。精度の高いプレーを求められるのは光栄ですが、常に緊張感を持って取り組まなくてはいけません。また僕自身もかつてヴィッセル神戸の選手として長くプレーしていたので選手側の心情も理解できます。彼らに寄り添ったコミュニケーションを取れる反面、厳しく接しなければいけない場面もあり、それも難しさですね」

——これからの目標についても聞かせてください。コーチとしてはもちろん「勝利」「優勝」だと思います。個人的にはどんな未来を想像されますか?

「『常に必要とされる人材でありたい』という志を持っています。それは指導者であってもなくても、誰かから求められる人材として成長し続けるということです。5年後、10年後に僕がどうなっているかはわかりませんが、がんばっていればいいことがあると信じて毎日最善を尽くしていきたいなと思います」

コーチングが選手たちの活躍やパフォーマンスに直結する。チームの成績にかかわることを考えれば、その責任は非常に大きい。それでも重圧から逃げず、選手たちと全力で向き合い、魂を込めて仕事をする。そんな菅原コーチの情熱が伝播するからこそ、チームは高いモチベーションを維持できているのかもしれない。今シーズンもヴィッセル神戸の勝利の裏には、菅原コーチの存在がある。

TEXT:Kodai Wada

EDIT:Yohsuke Watanabe (IN FOCUS)

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