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「高校野球で学んだことが、いまに活きている」。楽天イーグルスで苦しい時期を乗り越えた藤平尚真が、目標を持つ人たちへ伝えたいメッセージ

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高校時代は名門・横浜高校でエースナンバーを背負い2016年の夏、甲子園を沸かせた。高校BIG4と呼ばれ同年代の中でも高い注目を集めた藤平尚真投手は、同年のドラフトで楽天イーグルスから1位指名を受けてプロ入り。1年目から3勝を挙げた。その後はなかなか結果が残せない時期も続いたが、8年目の今季は中継ぎとしてチームの勝利に貢献している。苦しい時期を乗り越え再起をはかる藤平投手は、目標に向かって努力することの大切さを誰よりも知っている。

――中継ぎに再転向し結果にもこだわりたいシーズンだと思います。結果を残すために、意識して取り組んできたことはありますか。

先発から中継ぎに代わることによっての気持ちの変化というのはあまりないのですが、ここ何年かは結果の良し悪しに波があったので、気持ちも成績もしっかり安定させるために、 同じことを繰り返すということを意識して取り組むようになりました。

――同じ練習を繰り返すということでしょうか?

練習も、私生活もそうですね。練習であればしっかりと内容を決めて、1週間の中で毎日同じことをするとか、試合が終わってからのケアやトレーニングを同じように行い、何時に布団に入り何時間寝るようにするというのを、自分がきつくならない程度に決めて取り組むようになりました。それを続けていたら逆にラクになった部分が多いですね。気分や体調によって何かを変えるのではなく、ルーティーンにしていくことで気持ちも安定してきたと思います。

――藤平投手は高校野球で活躍しプロ入りをつかみました。振り返ってみて当時やっていたことが現在に繋がっていると感じることはありますか。

僕は横浜高校という歴史のある学校で甲子園を目指していました。名門ということもあり野球漬けの毎日でしたが、その中での学びがいまにたくさん活きています。例えば先輩との上下関係やどうしたら後輩たちが自分たちについてきてくれるのかなど、何気ないコミュニケーションの取り方を高校野球で教わりました。また、ひとつのことに集中するという部分は野球以外でも活かされているなと感じますね。

――野球以外ではどんなときに感じますか?

やはりプロ野球選手になってからは野球以外のことをする時間も増えました。プレー以外の仕事もありますし、趣味もそう。何かをするときにガッと集中できるというのは、高校野球の練習や試合で得た力だと感じています。諦めずに勝利に向かってみんなでがんばれたこと、目的に向かって集中して取り組む経験をしてきて本当に良かったなと思いますね。

――そういった土台があるからこそ、先ほど話されていた「同じことを繰り返す」ことができているのかもしれませんね。

そうですね。高校時代は同じことを毎日繰り返し“やらされて”いたのですが、今になってその大事さに気づきましたし、いま、自分の意志で毎日同じことを繰り返してやろうと思えるのはその経験があるからなのだと思います。

――藤平投手が思い描く理想の投手像とは?

プロに入団したころは、則本昂大さんや岸孝之さん、田中将大さんのようなエースになりたいなど「自分がこうなりたい」という思いが強かったのですが、次第にいかにチームの勝利に貢献できるかを考えるようになりました。そのためにどんな練習をすればいいのかを考えながら取り組むこともできています。いまはチーム勝利のピースになれる投手になりたいですね。

――野球をする上で1番大切にしている思いを教えてください。

野球を楽しむ気持ちですね。そこを忘れかけていたときもあったので。結果を残したいとか、きついなという気持ちがここ数年は多かったのですが、今年はマウンドに立って投げる楽しさを感じながらプレーできているので、その気持ちだけは絶対に忘れちゃいけないんだなということを再認識しています。

――さらなる活躍が期待される藤平投手から、目標に向かって努力を続けている読者へメッセージをお願いします。

まず夢や目標を持てること自体が貴重なことで、そういった何かひとつに取り組む過程が人生のプラスになると思います。高校野球であれば、できる時間は3年間しかありません。そこでの取り組み、出会った仲間や監督、コーチと過ごす日々は、その場所やその時しか経験できないものです。終わってから後悔することのないように、できることを最後までやり切ってください。

プロ入り時には将来のエース候補として大きな期待を受けながら、19、20年は未勝利、21年には一軍出場なしに終わるなど、未完の大器として7年の月日が流れた。野球が楽しいと思えなかったときもあったが、その日々があったからこそいまがあると思えている。目標に向かって努力を続け、次なるステージへと歩を進めた藤平投手は、野球の楽しさを感じながら、今日もチームのために腕を振る。

INTERVIEW&TEXT:Chiharu Abe
PHOTO:Toshiyuki Koizumi
EDIT:Yohsuke Watanabe(IN FOCUS), Shiori Saeki(IN FOCUS)

(2024年4月17日取材)

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