「子どもたちにもっと、選手と触れ合う時間を」。楽天モンキーズのリャン・ジャーロンが考える台湾野球の成長に欠かせないこと

インタビュー

Posted

2025.11.18

台湾のプロ野球チーム、楽天モンキーズの三塁手として活躍するリャン・ジャーロン選手は、幼少期から日本の野球に憧れ、甲子園出場を目指して日本の高校に留学した経験を持つ。そんな彼にとって、「台湾」という国は野球に打ち込む環境としてどのように映るのか。2つの国の少年野球を知るリャン選手に、それぞれの野球事情を聞いてみた。

——リャン選手は楽天モンキーズをどのような特徴を持ったチームと捉えていますか？

「団結力がありますよね。チーム全員で一丸となって戦う文化があり、選手たちだけではなく、応援も一体感があるのでなおさらそう感じるのかもしれません。あとは、試合中の音楽や踊りも、ほかのチームより盛り上げてくれていると思います。選手にとっては、野球は試合そのものが大事ですが、ファンの方々の楽しみ方はいろいろあっていいと思います。ゲームを楽しむのも、応援を楽しむのも、グルメを楽しむのも、人それぞれ。なかでも楽天桃園野球場（楽天モンキーズの本拠地）の応援の雰囲気は格別です」

——応援といえば、台湾のプロ野球は試合中にDJが音楽を流したり、みんなで踊ったりと、非常にユニークなことで知られています。

「そうですね。国際試合などを通じて各国の応援の様子を観てきましたが、やはりこの国の応援は独特です。ほかの国の選手も、台湾の応援はとにかく音が大きくて迫力があると感じているみたいですね。日本は、高校野球では内野席で学校関係者の方々が演奏するのが定番ですし、プロ野球では外野でメガホンを持って応援しますよね。プレーする国や年代によっても応援の違いがあるのでおもしろいです」

——リャン選手は高校時代に日本へ留学されていますが、背番号の捉え方などで、文化の違いを感じられましたか？

「日本の高校野球においては、背番号が非常に大きな意味を持ちます。たとえばピッチャーであれば、エースナンバーである『１』を誰もが目指しますよね。わたしがいまつけている『５』という数字は、野球の守備番号では、わたしの専門である三塁手を指す数字です。また、高校時代に日本でつけていた番号も『５』で、わたしにとって特別な数字なんです。海外では背番号はそこまで重視されないのかもしれませんが、日本ではとても大切にされていることを知っていますし、わたしも大切にしています。この背番号に責任を持ってプレーしています」

——日本のプロ野球についても聞かせてください。注目されている選手はいますか？

「楽天イーグルスに所属している鈴木大地選手です。彼がまだ千葉ロッテマリーンズにいたとき、実は僕がロッテのキャンプに参加する機会があって、いろいろとアドバイスをくれたり、サポートをしてくださいました。いまでもそのときのことは鮮明に覚えていて、とても感謝しています。本当に優しくしてくれました。また千葉ロッテマリーンズの中村奨吾選手も印象に残っています。今年の2月に石垣島でロッテと交流戦を行ったとき、久しぶりに奨吾さんに会うことができました」

——syncSPORTS by Rakutenでは、「スポーツとともに、もっといい未来へ。A BETTER FUTURE TOGETHER」というテーマの下で記事をつくっています。リャン選手は、台湾野球界の“もっといい未来”をどのように想像しますか？

「台湾において、野球というスポーツはとても人気です。WBSCプレミア12の優勝もあって、非常に盛り上がっていると思います。この流れを継続させ、さらに世界で活躍できる選手を輩出していくためにも、より環境を整える必要があります。台湾野球界の“もっといい未来”は、そうした取り組みの先にあると思います」

——具体的にはどんなことが必要でしょうか？

「やはり未来を担う子どもたちが、夢や目標を持てるようにすることだと思います。もっと野球に触れる機会を増やしてあげたいですね。たとえば選手が学校に行って子どもたちと野球をする時間を設けたり、あるいは球場で選手たちと触れ合う場を提供したり。プロ野球のジュニアチームのようなものをつくってもよいかもしれません。子どもたちがもっと野球に触れる時間を生み出して、プロ野球に憧れを持ってほしいです」

——最後に、ファンの方々にメッセージをお願いします。

「野球というスポーツは、シーズン中も試合中もさまざまな変化があります。よいときもあれば悪いときもある。日々、少しでもよくしようと努力しているので、勝っていても負けていてもいっしょに戦い、応援してくれたら嬉しいなと思っています。わたし自身、応援してくれる子どもたちにとっての目標としてもらえる選手になりたいです」

2025年11月7日（金）から9日（日）まで台湾・桃園市で開催された「2025桃園アジアプロ野球交流戦」は、楽天モンキーズ（台湾）、KTウィズ（韓国）、楽天イーグルス（日本）の3球団が激突した国際試合でした。
パ・リーグ Specialでは、以下の2試合を見逃し配信中です！

11月7日（金）楽天イーグルス vs KTウィズ（韓国）
11月8日（土）楽天イーグルス vs 楽天モンキーズ（台湾） ※リャン・ジャーロン選手も出場

台湾の地で躍動した選手たちの熱戦を、ぜひパ・リーグ Specialのアーカイブ配信でお楽しみください！（サイトはこちらから）

INTERVIEW&EDIT：Yohsuke Watanabe (IN FOCUS)
TEXT：Kodai Wada

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