1. ホーム
  2. インタビュー

成長のための変化。日々ハードワークに励む井出遥也は、加入後わずか1年でヴィッセル神戸に欠かせない存在に

サムネイル

足元のボールを軽やかに操り、パスやドリブルで相手ディフェンダーを翻弄していく。彼にボールが渡ると、スタジアムが沸く。そんな創造性あふれるプレーが、これまでは井出遥也選手の持ち味となっていた。しかし、ヴィッセル神戸に加入してからは、積極的な守備や長い距離のランニングも目立つようになった。鮮やかなテクニックに、献身的な姿勢が加わったのだった。そうしたプレースタイルの変化・成長の裏にはどんな思いがあったのだろう?

——​​2023年にヴィッセル神戸に加入されてから、ご自身ではどんな成長を感じていますか?

サッカーに対する向き合い方です。これまでは自分がプレーしていて面白い、楽しいと思えるサッカーを追い求めていたのですが、ヴィッセル神戸に来てからはより勝利にこだわるようになりました。ここでは日本代表や海外クラブでプレーしていた選手、さらにはこれからのチームを背負っていく中堅・若手の選手たちが日々のトレーニングからハードワークをします。そうした様子を見て、自分も練習の段階から勝ちに徹するようになりました。その成果が、昨年はJリーグ優勝という結果として現れたので、そうした努力が大切だということも学べましたね。

——​具体的にはどんな学びがありましたか?

例えばヴィッセル神戸の選手は、後半40分を過ぎて身体が動かなくなり頭が回らなくなるような厳しい状況下でも、競り合いに勝ったり1点をもぎ取ったりと、勝ちに対する執念がとにかく強いんです。レギュラーや代表クラスの選手であっても、普段の練習からも激しくぶつかり合いますし、全体練習後に残って個人練習に取り組んでいる。だから日本でトップになれるんだと思います。

——​ヴィッセル神戸の強さの理由ですね。

そうですね。その分、チームメイトに求めるプレーのクオリティも非常に高いですし、そのレベルで戦えなければ試合には出られない。本当にシビアな環境に身を置けて、サッカー選手として成長できているなと感じます。

——​プレースタイルの変化はありましたか?

もともとはパスやドリブルで攻撃のリズムをつくるようなプレーをしていたのですが、それだけではなくしっかりと走ってボールを受けたり、積極的に守備に回って相手にプレッシャーをかけたりと、よりハードに動くようになったと思います。それはレベルの高い選手が揃う中で自分の存在をアピールするために、自ら変えていきました。現代サッカーにおいてはテクニックだけで戦うことは難しい。ここで試合に出るために、ハードワークは欠かせないものになりましたね。

——​ヴィッセル神戸がチームとしてさらに強くなっていくためには、何が必要だと思いますか?

戦術やスタイルを大きく変えるというよりは、これまで積み重ねてきたものをしっかりと継続して発揮できるかが大切だと思います。ヴィッセル神戸は目の前の一試合一試合を大事にするチームなので、毎試合で100%の力を出せれば自ずと結果はついてくるはずです。

——​syncSPORTSでは、楽天グループが掲げる「スポーツとともに、もっといい未来へ。」というスローガンの下で記事をつくっています。井出選手が思い描く「いい未来」とはどんなものですか?

自分自身のキャリアという意味では、ヴィッセル神戸に来てから非常に成長させてもらえたので、より中心的な選手になりたいですし、自分のワンプレーでチームを勝利に導けるようになっていきたいです。また将来的には、コーチや監督業にも就きたいと思っています。これは高校生くらいから思い描いていたことなのですが、ゆくゆくは指導者としてサッカー界に貢献したい。いまはプレイヤーですが、相手チームの分析や戦術を考えるときなどは、そうした俯瞰した目線で見るようにも心がけています。それが僕の思い描いている「いい未来」ですね。

——もうすぐお子さんが誕生されるとお聞きしました。​​ご自身の子どもも含め、これからサッカーを好きになってくれるかもしれない子どもたちのために、どんな選手でありたいと思いますか?

僕は幼い頃から、「面白いサッカーをする選手」とか「ワクワクさせてくれる選手」に憧れて、彼らを目標にしてきました。だから子どもたちにも僕のプレーを観て同じ気持ちになってもらえるような選手でいれたら嬉しいです。

——プロサッカー選手を目指してがんばっている子どもたちに向けて、メッセージをお願いします。

これまで誰よりも練習してきたという自負があり、それが自信につながっています、サッカーが大好きなので、それをモチベーションとして努力してきましたが、次第に「サッカー選手になるんだ」という強い覚悟に変わり、実際にJリーガーになることができました。自分が本気でなりたいものがあるのなら、誰よりも努力してその夢を掴んでください。

観客を魅了するプレーを得意としていたものの、ハイレベルな選手が揃うヴィッセル神戸においては、それだけでは試合に出られないと気づき、徐々にスタイルを変化させていった井出選手。そして強度の高いプレーができるようになり、重要な試合での起用が増えている。自らのスタイルに固執せず、ハードワークを厭わなくなったことで大きく成長を遂げた。今後も豊富な運動量と卓越したテクニックで魅せていく。

INTERVIEW&EDIT:Yohsuke Watanabe (IN FOCUS)
TEXT:Kodai Wada

Share

おすすめの記事