「“1年目にしては”という前置きがついていた」。ルーキーからエースに。荘司康誠投手の勝負シーズン、はじまる。
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ルーキーイヤーの2023年は4月に一軍昇格すると、先発ローテーションの一人として19試合に登板し5勝3敗と安定感のあるピッチングを披露した楽天イーグルスの荘司康誠投手。次期エースとしての期待を一身に背負いながら、その面持ちはいたって普通。覚悟はすでにできているのだ。
昨季登板した19試合中、チームは11勝するなど先発投手としての役割を果たし、プロで通用することを示した。さらに今季からエース・則本昂大投手が抑えに配置転換されたことで、荘司投手にかけられる期待は大きくなっている。しかし、まだ1年しかやっていないのも事実。地に足をつけ、いま自分にできることは何かを考え続けている。
――昨季の活躍もあり荘司投手にかかる期待も大きくなっていると思いますが、今季ご自身にはどんな役割が求められていると感じていますか?
求められていることとしては先発ローテーションに入って25~26試合投げることだと思っています。ただ、僕自身としては規定投球回到達が最大の目標で、その中で2ケタ以上勝ちたい。期待をかけていただいているのはありがたいことではありますが、自分のやりたいこと、やるべきこともしっかり意識しながら試合に臨んでいきたいと考えています。
――試合数よりも、投球回数を重視しているんですね。
長いイニングを投げられる先発投手になりたいので、そのための投球術をもっと磨いていきたいです。その上で、より多くの試合数を投げられるようになりたい。ただ、昨年に比べ責任感は間違いなく増していますから、よりシビアにやらなきゃいけないなとは思います。
――1年目と2年目では気持ちの面でかなり違うものですか?
昨年はプロ1年目でしたから周りの方からも優しく見守っていただけたなという感覚があります。ポジティブな言葉もかけていただきましたが、内容だけを見たらそれほど良かった訳ではないので、言葉にはしなくても“1年目にしては”という前置きがついていたのだと感じています。『(1年目にしては)いい成績だよね』と。今年からはそれがなくなる中で戦わなくてはいけませんから、誰が見ても『すごいね』と思われる成績を目指さないといけないなと。
――目標である長いイニングを投げるため、または1年間ローテーションを守るためにはいまの自分に何が必要だと感じていますか?
いいときも悪いときも絶対にあるので、シーズンを通していかに自分をコントロールできるかが大事になってくるのではないかと思います。(その日の結果が)悪かったからと言って、それまでやってきたことを簡単に変えてしまうようだと続かないと思うので。周りの声に流されず、やるべきことに集中して、自分の中で芯を強く持っていたいです。
――次期エースとして期待されていますが、荘司投手が思い描く“エース像”とは?
マウンドに立っているときにチームに安心感を与えられる存在ですね。流れがあまりよくないときでも『荘司が投げているから大丈夫』と思ってもらえるような、みんなの負担を減らせる柱みたいな投手が理想です。
――自分が理想とするエースになるために必要なこととは?
大事なのはやはり結果です。いかにバッターを抑えて、勝利を積み重ねていけるか。いいパフォーマンスを安定して出せるようにしていく以外にありません。
――荘司投手は、子どもの頃に抱いた夢をかなえ、プロ野球選手という道を邁進しています。これからはどんな未来を思い描いていきたいですか?
人間として成長していくことができればパフォーマンスも上がると思うので、立場やバックボーンは関係なく、いろいろな人と考えを共有したいですね。技術的なことはもちろん、それ以外の部分でも頭を柔らかくしていきたい。僕にはない考え方がほかの人にはあるだろうから、それらを知ればもっとものの見方が変わったり、何か新しい発想が生まれたりするはずです。
――荘司投手に憧れる子どもたちにメッセージをいただけますか?
もちろんプロ野球選手を目指してほしいですけど、たとえ野球でなくても、“プロ”になってほしいですね。サラリーマンの方々だって、言うなればその分野のプロなわけです。ベクトルはどこに向いたっていい。やりたいこと、やらなくてはいけないことを強く意識し、周りと違うことを恐れないで突き進んでいけるかどうかです。僕はたまたま野球が好きで、それを仕事にしただけ。覚悟を持ってやらないといけないのは何事もいっしょです。
荘司投手の活躍が今季、チームの結果に大きく影響することは間違いない。その重圧をいかにして乗り越え、エースへの道を歩むのか。勝負の2年目、チームの中心選手としての活躍に期待がかかっている。
TEXT:Chiharu Abe PHOTO:Yuki Nara EDIT:Yohsuke Watanabe(IN FOCUS)