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楽天モンキーズにハマってみない?注目ポイントを古久保健二コーチに聞く

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「僕は日本、韓国、そして台湾のプロ野球でコーチを務めてきましたが、いまのモンキーズは面白い。注目しておいた方がいいですよ」。そう話してくれたのは、2022年から楽天モンキーズを指導している古久保健二ヘッドコーチ。応援し始めるなら、いまがいい!

「僕は日本、韓国、そして台湾のプロ野球でコーチを務めてきましたが、いまのモンキーズは面白い。注目しておいた方がいいですよ」。そう話してくれたのは、2022年から楽天モンキーズを指導している古久保健二ヘッドコーチ。応援し始めるなら、いまがいい!

ここ数年、台湾プロ野球が日本でも注目されるようになったのは、2019年に誕生した楽天モンキーズの存在が大きい。かつて日本のプロ野球でプレーしていたチェン・グァンユウ選手の活躍や、専属チアガール Rakuten Girlsの応援をはじめ、キャッチーな魅力がたくさんある。さらに現在、チーム全体の指導役を日本人が務めていることを知っているだろうか?古久保健二ヘッドコーチは、20年にわたってプロ野球選手を育て続けている名指導者で、東北楽天ゴールデンイーグルスに在籍していたこともある。日本と台湾、ふたつの国で“楽天ベースボール”に携わっているなんて、話を聞かない手はない!見た目はちょっと怖そうだけど、言葉の端々から選手への愛が伝わってきて、話を聞くだけでなんだか“野球熱”が高まった気分に。なるほど、コーチと話すってこういうことなのか!

ー 古久保コーチは日本と台湾どちらのプロ野球も熟知されていると思います。そうした立場から、日本の野球ファンが楽天モンキーズにハマるきっかけになるような魅力を教えてもらえますか?

まずは選手のレベルが高い。WBCにも出場したリン・リー(林立)は、間違いなくいまの台湾プロ野球を代表する選手です。彼の潜在能力は日本やアメリカに行っても引けを取らないでしょう。あとは三塁手のリャン・ジャーロン(梁家榮)もいい。彼のグラブ捌き、手首の柔らかさは本当にすごいです。ノリ(中村紀洋)に匹敵すると言っていいかは分かりませんが(笑)。彼らのように台湾野球トップクラスの選手がこのチームにはたくさんいるんです。

ー いま挙げられた2人はともに20代ですね。若手選手の台頭も応援すべきポイントですか?

そうですね。まだまだ成長するでしょうから、ファンの方々にとっても応援のしがいがあるはずです。その点で言えば、モンキーズ全体がいま世代交代の時期を迎えています。昨年ドラフトで入ってきた子たちもみんな将来性があって楽しみな選手ばかり。彼らがいかに努力して実績のあるベテラン選手たちを追い越していくか、その過程を見るのはきっと面白いはずです。

ー ヘッドコーチを務めて感じた、楽天モンキーズの特徴はありますか?

とにかくチームの団結力が強い。もしかするとこれは台湾プロ野球全体に言える特徴かもしれませんが。みんな仲が良いんですよ。それに性格も良い。その反面、優しすぎるなと思うこともあります。日本やアメリカに比べるとプロ野球の規模が大きくないから、敵チームもみんな友達なんですよね。僕自身、昨年までは敵チームにいたわけですが、それでもモンキーズの選手たちと日常的にコミュニケーションを取っていたから、いざヘッドコーチに就いてもすぐに迎え入れてくれた。

ー それが良い面でもあると感じつつ、もう少し緊張感も持つべきだと。

そう思うこともあります。やはり勝負事ですから。厳しい攻め方をしないといけない時もあるんです。

ー これは答えにくい質問かもしれませんが、日本と台湾のプロ野球にレベルの差はあると感じますか?

まず、選手単位で言えば差を感じることはないですね。特にピッチャーの質は年々上がっています。彼らは日本のプロ野球に行っても素晴らしい成績を残せるんじゃないかな。チーム単位でいうと、これは少し難しい話ですが。レベルの差というより、プレースタイルがまったく違うんです。日本は、甲子園を見ていても分かるように、高校生の頃から戦術的な野球が築き上げられていますよね。ノーアウトでランナーが出たらすぐに送りバント、ランナーが3塁に行ったらスクイズ、というように。その一方、台湾では将来有望な選手はみんな10代ですぐアメリカに行きますから、そこでより個人主義的な野球を学び、その後に帰国して実行しているんです。どちらが良いか悪いかではなく、根本的な土台の違いを感じることはありますよ。

ー 古久保コーチ自身の指導スタイルも変化しましたか?

もちろんです。日々勉強させてもらっていますよ。土台が違えば、練習方法も違う。それに時代もどんどん変わっていますからね。もう、自分が選手として培った経験をもとに指導するだけではいけない。いまの野球は星飛雄馬の世界じゃないんでね(笑)。それでも選手を一生懸命鍛えて強くしたい、その情熱だけは変わらずに持ち続けています。

古久保健二

1964年生まれ、大阪府豊中市出身。プロ野球選手として近鉄バファローズで約20年にわたり活躍した後、2003年からはコーチに。2016〜2018年に在籍した東北楽天ゴールデンイーグルスをはじめ、数々のチームで選手の育成・指導にあたっている。

TEXT: Yohsuke Watanabe (IN FOCUS)

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