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「野球が好き」。楽天モンキーズのタイトルホルダー、林立が伝えたい“野球との向き合い方”

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類稀な身体能力を生かし、台湾のプロ野球リーグ「CPBL」でタイトルを獲得し続ける林立(リン・リー)選手。2022年は、首位打者、最多安打、打点王に輝き、台湾プロ野球リーグMVPに選ばれた。彼が伝えたい野球の面白さ、そしてモチベーションの源泉とは、一体何だろうか。

2017年にデビューした林選手は、入団3年目に打率.389を記録し、首位打者を獲得。以降、盗塁王や打点王、最多安打などの主要タイトルを手に入れ、2022年にはリーグMVPも受賞した。強打・俊足の万能型バッターは、27歳にして「台湾球界の顔」とも言える存在。しかし注目される一方で、心の中には「野球が大好き」という真っ直ぐな想いを秘めていた。野球を愛し、楽しむ気持ちがあるからこそ成長できる。台湾野球の未来を担う子どもたちに見せたいのは、まるで野球少年のような純粋な姿なのかもしれない。

――林選手は2022年に大活躍した一方、今年はケガで出遅れてしまいました。昨年の成績が非常に良かっただけに、悔しい気持ちでいっぱいだったと思いますが、この経験を通して得られたものもあると思いますか?

今年は開幕後すぐにケガをしてしまいましたが、自分自身と向き合う時間をつくることができたのはプラスだったと思います。まったく試合に出ることができないようなケガははじめてだったので、急いで治したい気持ちはありましたが、焦っても治るわけではありません。シーズン開幕前にはWBCにも出場したので、心と身体をしっかり休ませようと切り替えることができました。今後はチームにしっかりと貢献できるようがんばりたいと思います。

――以前、古久保健二ヘッドコーチがインタビューで林選手を絶賛していました。逆に古久保ヘッドコーチが教える日本の野球スタイルを、林選手はどのように感じていますか?

野球のスタイル自体には、日本も台湾も大きな差はないように感じます。一方でヘッドコーチは試合中に作戦を練り、チームを勝利に導く役割を担っています。古久保ヘッドコーチが来てからは試合中の細かな指示が増え、采配を的中させる場面を何度も見てきました。そうした緻密な野球は素晴らしいと思いますし、私自身は戦術をしっかりと理解して実行できるように、常に意識しています。

――日本のプロ野球はご覧になりますか?

もちろん観ています。試合前にNPBの中継を観ることが多いですね。チーム力も選手のレベルも高いですし、ファンも多い。どのようにしたらあれだけの高いパフォーマンスを発揮し、その能力を維持し続けられるのか気になります。見習いたい存在です。

――林選手は台湾を代表する選手の一人ですが、今後、楽天モンキーズや台湾野球がもっと発展していくために、どのように取り組むべきだとお考えでしょうか?

楽天モンキーズは他球団と比較して、恵まれた環境で野球ができていると実感しています。選手のサポートのみならず、マーケティングなどにも積極的に取り組んでいて、今後はさらに良くなるのではないでしょうか。台湾プロ野球全体で見ると、より優れた選手が増えれば観に来てくれる観客の数も増えると思うので、まずはリーグ全体をレベルアップさせることが重要だと考えています。

――これから野球に興味を持つ子どもたちや、将来プロ野球選手になることを夢見る子どもたちに向けて、伝えたいことはありますか?

野球はいくつものポジションがある団体競技です。たくさんのスキルを身につけなくてはいけませんが、それは難しくもあり、面白い部分でもあると思います。また、ひとりだけが良いプレーをしても試合に勝つことはできません。大切なのは、チーム全体でパフォーマンスを発揮すること。そんな野球の面白さ・奥深さを、もっと多くの人に伝えられたら嬉しいと思っています。加えて、プロ野球選手を目指す子どもたちにとっては、「野球が好き」という気持ちを持ち続けることが大事だと伝えたいですね。わたしは野球が大好きだから、今でもプレーを続けています。プロ野球選手になることが難しく感じたとしても、「好き」という気持ちを持って取り組むことが未来につながると思います。

INTERVIEW:Yohsuke Watanabe (IN FOCUS) TEXT:Kodai Wada

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