奥深いサーフィンの世界へようこそ!まずはこの3名を知ることからはじめてみよう
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楽天がサポートしているナット・ヤング、小林桂、村上舜の3名は、三者三様の魅力を持つプロサーファー。そんなサーファーたちのスタイルの違いやそれぞれの見どころについて、日米サーフィンのパイプ役であり彼らを楽天につなげた南秀史郎さんに教えてもらうことに。お気に入りの選手が見つかれば、サーフィンはもっと楽しくなる!
前回のサーフィン記事で触れた、サーフィンのさまざまな魅力。南さんはビッグウェーブに挑戦するプロだったけれど、他にもいろんなタイプのサーファーがたくさんいる。まずは楽天サーフライダーの3名を知ることで、その興味を広げていこう。
長身が繰り出すダイナミックなアクション|ナット・ヤング
カリフォルニア州サンタクルズをホームにするナット・ヤング(Nat Young)は、ジュニアの頃からコンテストに出場し、数々のタイトルを手中にしてきた名選手。33歳を迎える今年も熟練した技を武器に、世界選手権ツアー出場を目指して世界のトッププロたちと競い合う。
「年齢的な面で言えば、ナットより若くて体力のある選手はたくさんいます。でも彼は30歳を越えたいまも現役アスリートとして、年間を通して地道に戦い続けているサーファーのひとりです。ナットの特徴は、鋭いターンとともに派手に飛ぶスプレーと大きなライン取り。スプレーというのは波から出る水しぶきのことで、体重が軽かったり脚力が弱いと飛びません。身長が180cm近くある恵まれた体格ならではの大胆なライディングが魅力です。本人の性格は全く逆ですごく物静かなんだけどね(笑)。ちなみに、スプレーが飛ぶかどうかは競技の採点にも関わってきます。スプレーが少ないとターンの威力が弱いと判断されて演技の質を評価されないこともあるので、けっこう大事なんですよ」(南秀史郎)
高い技術と度胸で荒波を乗りこなす|村上舜
神奈川県湯河原町出身で吉浜をホームにする村上舜は、10歳でコンテストデビュー後すぐに才能を開花させ、14歳という若さでプロに転向。好成績を次々と収めてきた。そんな村上は現在、大会に出場して点数を競い合う競技シーンとは一線を引き、フリーサーフィンの道に進んで自由な表現を追求している。
「舜は元々オリンピック日本代表候補になるほどの実力者です。ただ、ある時から大会に出場して成績を残す意欲がなくなって、結局代表候補も本人の意志で辞退してしまいました。昔から自然との触れ合いが大好きだったから、競技選手の人生からサーフィンをより自由に楽しむライフスタイルにシフトしたというかね。いまはだれも挑戦したことのないスリリングな波を求めて、ウェーブハンティングしながら国内外を巡っています。そんな舜が特に好んでいるのがチューブライディングという、波のトンネルをくぐるようなトリック。決まると他に代えがたい快感が波の中で味わえるし、観ている側にとっても爽快なトリックなんですが、チューブができる場所というのは水深が浅めで足元が岩場になっていることも多く、高度なテクニックと度胸が必要なんです。また、チューブ状になる波を狙う“目”や勘のよさも必要。舜はもちろん、優れたサーファーは全員これらを備えています」(南秀史郎)
現代的なサーファーのあり方で魅力を発信|小林桂
1998年生まれの小林桂は、カリフォルニア州サンクレメンテで育ったプロサーファー。アメリカ国籍を持つため、普段はノースアメリカをベースに活動しているが、日本国内の大会にも多数出場していて、優勝経験もある実力者。南さんも「ローカルの大会じゃもはや敵なしと言える実力なんじゃないかな」と話す。
「プロサーファーって実は普段おとなしくて引っ込み思案なタイプが多いんだけど、桂は自らが前に出ることにまったく抵抗のない性格をしています。YouTubeチャンネルやSNSでサーフィンしている自分を日常的に発信したりね。そう言った意味で、いままでいなかった新しいサーファー像を作っているところが彼の魅力のひとつに挙げられると思います。その上で、サーフィンに対してものすごい熱量を捧げているアスリート。小柄な体型をしている桂は、海外選手たちに負けない体を作るために早朝からトレーニングするほどストイックです。いまは2025年春から始まるチャレンジャー·シリーズへの出場や、その先にあるワールドツアー進出、世界タイトルの獲得を目標に日々研鑽しています。若手サーファーたちはみんな器用でトリックも上手なんですが、桂は特にエアー系のトリックが得意な選手なので、そのあたりも注目してみるとより面白く観られるんじゃないでしょうか」(南秀史郎)
華麗なターンやエアー(ジャンプ)、躍動的なムーブの数々で豪快に水しぶきをあげるスポーツの爽快感は、これから暑くなる時期にもぴったり。さらに南さん曰く、一般サーファーからプロの大会でも使用できる大規模なウェーブプールの建設計画が日本国内で進行しているのだそう!
「今後、これらの施設がサーフィンというスポーツをもっと身近なものに定着させ、元気な日本の未来を担う青少年の育成に役立ってほしい。国内外のサーファーが集まり、地方経済を活性化させ、新たなサーフィンカルチャーを生み出しながら地方創生に繋がっていくことを願います」(南秀史郎)
今回の記事を読んで、サーファーのことを知りたいと思った人は、世界の上位ランカーやコンテスト出場選手がチェックできる「World Surf League(WSL)」もおすすめ。サーフィンをさらに面白く観るためにも、ぜひお気に入りの選手を見つけてみて。
VIDEO:Junichiro Harada【Shun Murakami】 TEXT:Keisuke Honda EDIT:Yohsuke Watanabe(IN FOCUS)