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楽天イーグルス初の快挙を達成した新エース、早川隆久投手。成長の秘訣はサッカーにある…?

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サウスポーとしてチーム初となる10勝を挙げ、最終的に11勝でシーズンを終えた早川隆久投手は、プロ4年目で先発投手陣の柱となった期待の新エース。「チームを引っ張っていける投手になりたい」と、本人の言葉も頼もしい。話を聞いてみると、意外にもサッカーの試合からインスピレーションを得ることが多いのだとか。貪欲!

チーム初の快挙を達成!

2020年にドラフト1位で入団して1年目から9勝を挙げ、以降も楽天イーグルスでキャリアを積み上げてきた。昨年のオフシーズンに、それまで先発としてチームを牽引していた則本昂大投手が抑えに配置転換したことで先発ローテーションの柱に抜擢。重圧は決して小さくはなかったはず。それでも勝利を重ねられたのは、ルーキーイヤーだった2021年からチームを背負う覚悟を持って取り組んできたからこそ。

「マウンドはひとつしかないので、そこに立った以上は全員がエースという気持ちで投げていかないといけない」

則本投手や岸孝之投手ら先輩の大きな背中を追いかけつつ、マウンドに立てば自分がエースという気持ちを持っていた。その意識の高さがピッチングの安定感とマウンドでの安心感につながっているのだろう。早川投手は、自己最多の11勝を挙げ2024年シーズンを締めくくった。

他競技からも学びを得て成長

強い責任感と自覚を持ち、向上心を持って自分にできることを常に考える早川投手。プロ入り後は体力強化に努め、栄養を考えた食事管理、体のケアなどにも意識を向けたことでプロ野球選手としての基礎を築いた。さらに今年は新たな気づきも得たのだとか。

「自分のピッチングを客観的に見られるようになったことが、この4年間で1番大きかったですね」

マウンドで自身のピッチングや球場の雰囲気などを、冷静に見ることができるようになった早川投手。それこそが10勝到達の大きな要因と語る。そこには他競技から吸収することも多かったそう。

「今年に入り、Jリーグをたくさん見るようになりました。同じ楽天グループで昨年優勝したヴィッセル神戸の試合もたくさん見ましたね。特にミッドフィルダーの選手の動きに注目しました。的確なパスを出すためには敵や味方の位置を俯瞰して見ているはず。またフォワードも全体の状況を見ることで、ゴールのために自分がどう動くべきかを考えているのだと感じました」

実際にスタジアムにも見に行ったと言い、応援する楽しさ以外にも多くのことを学んだ。競技にとらわれずにあらゆる角度から学ぼうとする広い視野と底知れぬ向上心は、今後もさらなる高みへと早川投手を導いていくだろう。

チームの大黒柱へ、さらなる高みを目指す

エースとして大きな期待を背負うも、実はその肩書きにはこだわりがないのだとか。

「僕には投げている人がエースという考えがあるので、エースという言葉にはとらわれずにやっていきたいです。各々がその意識を持っていけたらチームとしても良くなっていくと思うので、僕もその1人になっていければなと」

投手一人ひとりが自覚を持って投げることが求められており、それこそがチームが強くなるためには必要だと考える。だからこそ「チームを引っ張っていける投手になりたい」と続けた。チームを勝たせられるエースという立場以上に、大黒柱として支えていきたいのだと語る。もちろんそのためには自身の成長も必要不可欠。2桁の壁を越えてもなお、冷静だった。

「10勝は通過点」

ここで満足はできない。楽天イーグルスのサウスポーで初の快挙も、長くプロ野球の世界で活躍する未来を思えばまだまだ通過点である。毎年、毎年、成長した姿を見せてくれる若きエース。楽天イーグルス、そして日本を代表する投手へと駆け上がる日はそう遠くないのかも。

TEXT:Chiharu Abe
EDIT:Yohsuke Watanabe, Shiori Saeki (IN FOCUS)

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