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飛躍した昨年を経て、今年はより高く!藤井聖の成長はまだまだ続く。「僕ら世代が楽天イーグルスの中心になっていかないといけない」

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2024年は先発ローテーションの中心としてチーム最多タイの11勝を挙げた藤井聖選手。さらなる活躍に注目が集まるいま、それでもおごらず、同期の仲間を引き合いに出しながら謙遜する口ぶりに、むしろ成長の伸び代の大きさを感じずにはいられない。 努力と勝利の積み重ね、その先に“もっといい未来”は待っている。

※この取材は2025年2月の春季キャンプ時に行いました。

――昨年の開幕前は先発ローテーションを争う立場でしたが、今年はそれを1年間守り抜くことが求められています。心境の変化はありますか?

「昨年11勝したから気持ち的にラクになったということはまったくないです。そういった慢心で足元がすくわれると思っているので、オフやキャンプでもこれまでと同じ気持ちで取り組んできました。今年も先発ローテーションをつかみ取るんだという思いで臨んでいますね」

――昨年は早川隆久選手とともにチーム最多の11勝を挙げました。チームをけん引するエースとしての自覚は芽生えましたか?

「エースになりたい、ならなければいけないという強い思いはあまりないんです。まだまだそんな位置ではないですし、(早川)隆久や岸(孝之)さんには到底及ばないと思っているので、そんな生意気なことは言えないです」

――厳しい自己分析ですね。

「エースって、完投や完封ができるような、ひとりで試合を背負えるピッチャーだと思いますから。9回を投げきれないピッチャーは絶対にそう呼ばれないので。その点で僕はまだまだ。今年は完投、完封できるようにがんばりたいです」

――早川選手は同期入団でもあります。藤井選手の目にはどのように映っていますか?

「才能が桁違いだなと(苦笑)。たしかに昨年は勝ち星の数では並びましたが、ふたを開けてみたら数字は彼の方が圧倒的。何ひとつ及んでいないなと痛感しました。また、勝ち星はピッチャーひとりだけのものではなく、野手が点を取ってくれて、守ってくれて手にできるもの。勝利数だけでは投手としての比較はできないです。隆久は僕にとってよきライバル。でも争うという意味ではなく、同じく同期の内(星龍)も含めた3人で『先発ローテーションを回りたいね』といつも言い合っているのでそれを毎年続けていくことが大事だと思っています」

――同期と切磋琢磨するなかで、「ここだけは負けない」という自身の強みはありますか?

「雑草魂といいますか、泥臭さみたいな部分では負けていないのかな。技術云々ではまだ到底敵わないのですが、挫折した経験や泥水をすすった経験があるのは僕の方だと思っています。どちらかと言えば僕は這い上がってきた野球人生。打たれ強さや、這い上がろうという思いの強さはきっと負けませんね」

――入団から3年間は2軍を主戦場にしながらも努力を続け、昨シーズンの飛躍につなげました。1軍で1年間ローテーションを守ったことで見えてきた課題はありましたか?

「対バッターにおいては技術力の向上に尽きます。その上で、先発投手として首脳陣の信頼を勝ち得ることも同じくらい大事だと感じました。7回を投げ切って、『もうやめとくか』となるのか、安心して8回、9回を任せてもらえるのか。任せてもらえるような投手になることもひとつの課題です」

――信頼を勝ち得るためには何をすべきだと思いましたか?

「やはり投球内容ですね。内容が悪いと球数が多くなり、長いイニングを投げられないということにつながっていきますから。三振で決めるところを決め切るとか、そういった部分が必要になってくる。そのためにはまだ技術不足なので、そこを詰めていけるようにキャンプでも重点的に取り組んでいました。まずは自分が狙ったところに投げ切れるコントロールがないと決め切れませんから、ピッチャーの生命線であるコントロールをどんどん磨いていきたいです」

――昨年は第一子が誕生するなど私生活でも大きな変化を迎えた1年だったと思います。心境の変化もありましたか?

「子どもを守っていかなくてはいけないという責任感が、野球面でも結果に表れたのかなと感じています。自分の子どもの話で言えば、大きなケガや病気、事故などなく健康に心が素敵な人に育ってほしいなと思っています。そのためには過ごす環境も大事になりますから、日本全体が優しい国であってほしいです」

――入団時から「息の長い投手」を口にされていますが、お子さんが藤井選手の仕事を理解できる年齢まで現役でいたいという思いも強くなったのではないでしょうか?

「本当にそうですね。小学生になる頃まで第一線でやっていたいという思いはすごくあります。そのためにもとにかく怪我をしないこと。結果が出ない時もあるとは思いますが、怪我をしたらその結果すら出ない。怪我をせずにずっと投げ続けることが大事だと思います」

――藤井選手はいま、どんな未来を描いていますか?

「やはり僕ら世代が楽天イーグルスの中心になっていかないといけない。それが僕にとってもチームにとっても、もっといい未来だと考えています。そのためには昨年のような成績を毎年コンスタントに残していくことが大事。その積み重ねがもっといい未来につながっていくと思っています」

社会人野球を経て入団した藤井選手は今年、28歳でシーズン5年目を迎える。年齢的には中堅、それでも若手顔負けの貪欲さと謙虚さを忘れない。課題をひとつひとつクリアして成長を遂げ、どんどん頼もしくなっていくマウンド上での姿を今年も目に焼き付けたい。

TEXT:Chiharu Abe
PHOTO:Yuki Nara
EDIT:Yohsuke Watanabe(IN FOCUS)

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