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視覚を超えた世界でボールを“聞き”、ゴールを狙う。ブラインドサッカー®ってどんなスポーツ?

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視覚情報を遮断した状態で繰り広げられるブラインドサッカー®は、想像以上の迫力と緊張感を秘めている。昨年末に開催されたパラスポ体験パーク by Rakutenには、同競技で男子日本代表強化指定されている永盛楓人選手がゲストとして参加していた。彼にも話を聞きながら“ブラサカ”のことを調べてみると、その魅力がわかってきた。

パラスポ体験パーク by Rakutenで行われたアイマスクをつけてのPK体験

12月8日に福岡県福智町で行われたパラスポ体験パーク by Rakutenは、同町と楽天グループが2024年4月に地域スポーツに関する事項を含む包括連携協定を締結したことで実現されたイベント。今回がはじめての開催となった。地域の子どもたちに向け、体験を通してパラスポーツへの理解を深めてもらうことを目的にしている。さまざまな競技がブース展開する中で、ブラインドサッカー®は「PK体験」を実施。アイマスクをつけた参加者が、パートナーの声を頼りにドリブルしてゴールにシュートを打つ。

視覚情報が遮断される体験は、はっきり言って“怖い”。アイマスクをつける際に景色をなんとか記憶して動こうと思っても限度がある。そうなってはじめて、パートナーの声の大切さを実感する。どの方向から聞こえる?音量から察するに距離はこれくらい離れている?思考を巡らせながら、向けられた言葉を信じるしかない。信じて、ボールを操るしかない。たった数分の体験にも関わらず、アイマスクを外してゴール内に入ったボールを確認した瞬間は、喜びと疲労をしっかり感じた。はっきり“学んだ”のだと思う。

そんな「PK体験」を優しくサポートしてくれていたのが永盛楓人選手だった。

パラスポ体験パーク by Rakutenでは、参加した子どもたちにブラインドサッカー®の基礎を優しく教えていた。

視えなくても、いや、視えないからこその「自由」

ブラインドサッカー®男子日本代表強化指定選手でフィールドプレーヤーとして活躍する永盛選手は、この競技の根幹をコミュニケーションにあると語る。「チームのみんなが、どのタイミングでどのような言葉を使うのかがポイントになります」。試合が動く中で瞬時に状況をすり合わせ、相手の位置やボールの動きをいかに的確に伝え合うかが勝敗を大きく左右する。

さらに、永盛選手はブラインドサッカー®を「自由をくれるスポーツ」と表現する。アイパッチやアイマスクを着用して視覚情報が遮断される一方で、安全面に配慮されたコート構造やルールのおかげで、必要な「音」だけに集中しながら思いきり走り回ることができる。この解放感と信頼し合う仲間の存在が、この競技ならではの魅力なのだとか。

音の鳴るボールを頼りにプレーが繰り広げられていく

ブラインドサッカー®は、フットサルをベースに5人制スポーツとして考案されたのがはじまり。フィールドプレーヤーは全盲の選手で、シャカシャカと鳴るボールの音を頼りに、転がり方や、選手同士の位置関係を把握する。

ボールを持った相手に向かって行くときには「ボイ!」と声を出すというルールも。これはスペイン語で「行く」という意味。衝突を防ぎながら、安全かつスリリングなプレーを成立させるための欠かせない要素になっている。

音の正体は、ボール内部に取り付けられた金属プレート。

晴眼者も含めた高度なチームワークがゴールを生む

ゴールキーパーは晴眼者や弱視者が務めるポジション。また、敵陣ゴール裏にはガイド(コーラー)と呼ばれる役割の人が立つ。さらにサイドフェンスの外側には監督が立ち、これら視覚のあるサポーターがフィールドプレーヤーに声で指示を出すことで、攻守の戦術を組み立て、その連携が噛み合うほど得点のチャンスは広がっていく。

音と声によるコミュニケーションが勝負の鍵を握る。

応援は「お静かに」。独自の観戦マナーも魅力のひとつ

同競技のユニークな特徴として、観戦時のマナーについても触れておきたい。選手たちはゴールキーパーやガイド、監督の指示を頼りに動いている。味方や相手の動きを推測するために、観客は試合中できるだけ静かに見守り、ゴールが決まった瞬間には思いきり歓声を上げる。この緩急によって生まれる独特の緊張感は、ブラインドサッカー®ならではの醍醐味といえるもの。

視覚を超えた世界で

選手たちは声と音を武器に、攻めるタイミングや相手との距離感を把握してチームメートとともにゴールを目指す。その結束力とコミュニケーションは、スポーツ好きなら誰もが共感できるはず。

日本ブラインドサッカー協会のWebサイトには最新の試合日程も掲載されているので、まずは気軽に観戦してみるのがオススメ。視覚を超えた世界にある“自由”と“信頼”を肌で感じてみてほしい。

参考:日本ブラインドサッカー協会HP

PHOTO:Teppei Hori
TEXT:Nariko Inoue
EDIT:Yohsuke Watanabe, Shiori Saeki (IN FOCUS)

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