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「毎日、同じ“自分”でグラウンドに立つ」。若返りが図られる楽天イーグルス。それでもベテラン・岡島豪郎選手はチームに欠かせない

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プロ13年目のシーズンを送る岡島豪郎選手は楽天イーグルスの日本一を知る数少ない優勝戦士。当時はまだ2年目と若かったが、いまはベテランとなり、プレーだけではなく精神的支柱としても大きな存在感を放っている。チームのために考え、チームのために行動する。当たり前のようで実はとても難しいこの姿勢こそ、彼が長年必要とされ続ける理由なのかも。

――近年の楽天イーグルスは辰己涼介選手、小郷裕哉選手ら中堅選手の台頭によってチームが活性化しているように感じます。岡島選手は今年のチームをどのように見ていますか?

勢いづくと止められない感じがありますよね。初優勝した日本生命セ・パ交流戦では1点取ったら2点、2点取ったら3点と畳みかけられるゲームの進め方ができるようになってきたと感じました。リーグ戦に戻ってうまくいかないことも出てきますが、長いシーズン中にそういったことはよくあることなので、下を向かずに進むだけです。

――今年からチームの指揮を執る今江敏晃監督の空気感も現在のチームの雰囲気に直結していると思います。岡島選手から見て、今江監督の指導はいかがですか。

まず、選手と会話をしている姿はよく見ますね。僕も、些細なことですが「いつもベンチで声を出してくれてありがとう」と言われたことがあります。ちゃんと選手を見てくれているんだなと感じます。

――若返りが図られる楽天イーグルス。チームとしてどんな「未来」を見据えていますか?

いま活きのいい選手が出てきているところなので、これから5年間の楽天イーグルスはすごく楽しみです。本当に強いチームになっていくのではないかと。僕はレギュラーで出続けるのは難しいと思いますが、ギリギリまでグラウンドには立っていたいですね。そして経験や思っていることを伝えながら、チームに貢献していきたいです。

――岡島選手個人としてはいかがでしょうか。

僕はあまり先を見ず「今日、がんばろう」と思っているんです。毎日毎日の積み重ねが未来に繋がればいいですね。

――ベテランと呼ばれる立場になりましたが、意識して取り組んでいることはありますか?

僕がいつも心がけているのは、毎日、同じ自分でグラウンドに立つということ。落ち込みながら球場に来たり、「今日はきついな」と思いながら来たりすることがないように意識はしています。

――そう意識する理由とは?

僕自身が「この人は何を考えているのかな?」と考えちゃうんですよ。そういったこともあり、チームメートにはいつも同じように普通に接してもらえるような、変に気を遣わせるようなことがないようにやりたいなと思っていますね。年齢を重ねるほどにそういった意識は強くなりました。

――昨年引退した銀次アンバサダーが練習を見に来た際には岡島選手とも話をしている姿をよく目にします。

僕が試合に出ていなくても「ナイスバッティング!」と声をかけてくれます(笑)。そういうなんでもない話ばかりしていますが、銀次さんの存在は大きいですね。本当に変わらない人なんですよ、いいときも悪いときも。現役時代は野球の成績に関わらず、常に同じ感じで接してくれました。だから僕もそういう部分を見習って心がけているのかもしれないですね。現役時代から本当にありがたい存在でしたし、この先も変わることはないと思います。

――プロ野球の世界で長く活躍している岡島選手から、プロ野球選手を夢見る子どもたちへアドバイスをもらえますか?

僕がプロ野球選手になるために実践したことで言うと、部活時間のほかに「365日、1本でもいいからバットを振る」ことを続けていました。100本振った日、それ以上振ったときももちろんありましたが、体がしんどいときは1本のときも……。それでもとにかく毎日。それだけが、唯一努力したなと言える部分かもしれないです。やはり目標が大きくなればなるほど、それに向かっていくためにやらなくてはいけないことが絶対に増えてくる。だからこそ自分の目標設定はとても大事になってきます。正直、これに何の意味があるのかと言われたら、ないのかもしれませんが、どんなことでもいいので目標に向かって自分が決めたことを“続ける”ことが大事です。

――プロ野球界の未来のため、よりよく変えるとしたらどんな部分でしょうか?

子どもたちが球場に足を運んでくれる機会をもっと増やせたらいいなと感じますね。球場では様々なイベントもしていますし美味しいグルメもたくさんある。楽天イーグルスの場合は特に、本拠地の楽天モバイルパーク宮城には観覧車やメリーゴーラウンドもありますから。はじめはどういった理由でも、子どもたちが来る機会さえ増えれば、「こういうところでプレーしたい!」と思ってもらえるんじゃないでしょうか。

ベテランになっても変わらない全力プレーはいつもファンを魅了している。さらに「年齢を重ねれば重ねるほどやらなくてはいけない」と手を抜かずに野球と向き合い努力を重ねる姿に後輩たちも尊敬の念を抱く。スタメンで出場する機会は減っても、ベンチに欠かせない選手であることは間違いない。持ち前の勝負強さを武器に、何度もスタンドを沸かせる、そのプレーに注目してほしい。

TEXT:Chiharu Abe
EDIT:Yohsuke Watanabe(IN FOCUS)

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